【重要判例】判例(保証債務と反射効)
2026/03/25 更新
最判昭和51年10月21日民集30巻9号903頁
1 事案
(1)債権者Xは保証人であるZに対し保証債務の履行請求をした。保証人であるZは敗訴した。・・・(ア)
(2)債権者Xは主債務者であるYに対し主債務の履行請求をした。主債務者であるYは勝訴した。・・・(イ)
(3)保証人Zは、(イ)の訴訟で主債務が無くなったことを理由に、(ア)の債務名義についえ請求異議の訴えを提起した。
2 判決
「一般に保証人が、債権者からの保証債務履行請求訴訟において、主債務者勝訴の確定判決を援用することにより保証人勝訴の判決を導きうると解せられるにしても、 保証人がすでに保証人敗訴の確定判決を受けているときは、 保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定しても、同判決が保証人敗訴の確定判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としてされている以上、 保証人は右主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にする余地はないものと解すべきである。」
「けだし、 ①保証人が主債務者勝訴の確定判決を援用することが許されるにしても、これは、右確定判決の既判力が保証人に拡張されることに基づくものではないと解すべきであり、 また、②保証人は、保証人敗訴の確定判決の効力として、 その判決の基礎となった事実審口頭弁論終結の時までに提出できたにもかかわらず提出しなかった事実に基づいてはもはや債権者の権利を争うことは許されないと解すべきところ、 保証人敗訴判決の確定後において主債務者勝訴の確定判決があっても、その勝訴の理由が保証人敗訴判決の基礎となった事実審口頭弁論の終結後に生じた事由に基づくものでない限り、この主債務者勝訴確定判決を援用して、 保証人敗訴の確定判決に対する請求異議事由とするのを認めることは、実質的には前記保証人敗訴の確定判決の効力により保証人が主張することのできない事実に基づいて再び債権者の権利を争うことを容認するのとなんら異なるところがないといえるからである。」
解説1 反射効
(1)判決は、「一般に保証人が、債権者からの保証債務履行請求訴訟において、主債務者勝訴の確定判決を援用することにより保証人勝訴の判決を導きうる」と反射効を肯定するかのよう表現を使っています。
(2)しかし、判決は、保証人Zの主張を排斥しています。つまり、判決は、結論としては、反射効力を否定しています。
解説2 実体法説と訴訟法説
(1) 例えば、既判力によって訴訟物となった権利関係が変化する(実体法説)という考え方をすれば、(イ)の訴訟の結果によって、「既判力によって訴訟物となった権利関係が変化する(実体法説)」と考えれば、例えば、主債務者と債権者との間で主債務の履行請求訴訟において、主債務者の勝訴が確定した場合、保証債務の付従性から、債権者は保3 証人との関係で、保証債務の履行をできなくなる。」という結論になります。
(2)しかし、判決は、保証人Zの主張を排斥しています。
つまり、判決は、「既判力とは、確定判決が後日の訴訟に及ぼす拘束力である(訴訟法説)」ので、上記のように考えることはできない、と考えています。
解説3 既判力の拡張
(1) 判決は、「保証人が主債務者勝訴の確定判決を援用することが許されるにしても、これは、右確定判決の既判力が保証人に拡張されることに基づくものではない」と述べています。
(2)したがって、反射効を既判力の拡張から説明する立場も否定しています。
参考
田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 77頁以下。






