【重要判例】判例(口頭弁論終結後の承継人)
2026/03/25 更新
最判昭和48年6月21日民集27巻6号712頁
1 事案
(1)XはYに対し土地の所有権に基づく所有権移転登記請求権に基づいて同訴訟を提起して勝訴した。
(2)YはZに同土地を譲渡した。Zは、XとYの登記が通謀虚偽表示と知らない善意の第三者であった。
(3)XはZが口頭弁論終結後の承継人にあたるとして、承継執行文の付与を受けて、登記の移転登記をした。
(4)ZはXに対し、「自己は善意の第三者であるから、口頭弁論終結後の承継人者に当たらない。」と主張した。
2 判決
「以上の事実関係の下においては、Xは、本件土地につきY名義でなされた前記所有権取得登記が、 通謀虚偽表示によるもので無効であることを、善意の第三者であるZに対抗することはできないものであるか ら、Zは本件土地の所有権を取得するに至ったものであるというべき である。このことはXYとの間の前記確定判決の存在によって左右されない。」
「そして、ZはYのXに対する本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、Xが、右確定判決につき、Yの承継人としてZに対する承継執行文の付与を受けて執行することは許されないといわなければならない。」
1 解説
口頭弁論終結後の承継人の定義
(1)Zは、「① 前訴確定判決の訴訟物である権利義務自体を承継した者」「 ② 訴訟物である権利義務を先決関係とする権利義務を承継した者」にあたるか。
前訴は、「土地の所有権に基づく所有権移転登記請求権」である。後訴も、「土地の所有権に基づく所有権移転登記請求権」である。これらは併存し、訴訟物の承継した者には当たらない。
(2)Zは、「③前訴の口頭弁論終結後に係争物の所有名義または占有を承継した者」にあたるか。
Zは、登記というYの占有(登記)を承継したものであるとはいえる。
(3)Zは、訴訟物となる権利関係の権利者もしくは義務者という当事者適格を承継した者(適格承継説)に該当する。
| 判例の立場は、民事訴訟法115条1項3号の承継人について、① 前訴確定判決の訴訟物である権利義務自体を承継した者、 ② 訴訟物である権利義務を先決関係とする権利義務を承継した者のみならず、③前訴の口頭弁論終結後に係争物の所有名義または占有を承継するなどした第三者が現れたときに、実体法を適用した結果、 前訴の当事者の地位に依存する関係に立つ者と判断された者を「口頭弁論終結後の承継人」 と認めています。 (田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 69頁以下。) |
固有の攻撃防御の保障
(1)形式説は、「当事者適格を承継した者は、「口頭弁論終結後の承継人」にあたるが、同人が固有の攻撃防御方法を主張することはできる。」という考え方です。
本件では、「Zは「善意の第三者である。」という主張をすることができる。」という考え方です。
(2)実質説は、「固有の攻撃防御方法を有する者は、「口頭弁論終結後の承継人」にあたらない。」という考え方です。
上記の判例は、実質説にたったものとされます。
参考
田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 58頁以下。
越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法 補訂版」148頁以下






