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民事訴訟

【重要判例】判例(釈明権の不行使が違法となる条件)

2026/03/24 更新

最判昭和45年6月11日民集24巻6号516頁

 「釈明の制度は、弁論主義の形式的な適用による不合理を修正し、訴訟関係を明らかにし、できるだけ事案の真相をきわめることによって、当事者間における紛争の真の解決をはかることを目的として設けられたものであるから、原告の申立に対応する請求原因として主張された事実関係とこれに基づく法律構成が、それ自体正当ではあるが、証拠資料によって認定される事実関係との間に喰い違いがあってその請求を認容することができないと判断される場合においても、その訴訟の経過やすでに明らかになった訴訟資料、証拠資料からみて、別個の法律構成に基づく事実関係が主張されるならば、原告の請求を認容することができ、当事者間における紛争の根本的な解決が期待できるにかかわらず、原告においてそのような主張をせず、かつ、そのような主張をしないことが明らかに原告の誤解または不注意と認められるようなときは、その釈明の内 容が別個の請求原因にわたる結果となる場合でも事実審裁判所としては、その権能として、原告に対しその主張の趣旨とするところを釈明することが許される」

(1)本件は、「積極的釈明について、その行為が不公平であって違法である。」と争われた訴訟である。この判例   以降も、釈明権行使の違法について争われた最高裁判例が見当たらない( 「民事訴訟法判例百選(第6版〕)」102頁)。
(2) 本判決では、「釈明の制度は、弁論主義の形式的な適用による不合理を修正し、訴訟関係を明らかにし、できるだけ事案の真相をきわめる」ために設けられたとしており、当事者が用意した証拠によって判明した事実を前提として、「弁論主義(自己責任)の徹底よりも、」「裁判所には司法権として、事実を解明しその真実に適合した判決をする」ことが適切である、という立場を取っている。
(3)本判決の事例は、請求権競合の事案で、当事者が主張していない法的主張ではあるが、裁判所は、その主張を認定することができるのではない、と考えるとき、その点を当事者に指摘して主張・立証する機会を与える釈明をすることができるとした事例でもある(法的観点指摘義務)。
 新訴訟物理論によれば、別の請求権についても訴訟物は同一であるから、裁判所の釈明権の許容される範囲は広くなり、かつ、行使する義務が発生する範囲も広くなる。
 しかし、本判決は、旧訴訟物理論を前提としても、「事案の解明と真実に適した判決を出すためには」当事者が主張していない法的主張についても、当事者に指摘して主張・立証する機会を与える釈明をすることができるとした事例でもある(法的観点指摘義務)。
(4)逆に言えば、一定の場合には、旧訴訟物理論を前提としても、新訴訟物理論の見地で、紛争を判断する義務があると裁判所に課したした判例でもある。(新訴訟物理論でも、旧訴訟物理論でも、釈明義務の範囲には影響がでない。)

参考
 田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 177頁
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