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民事訴訟

Q 訴訟上の和解について、錯誤による取り消しを主張することはできますか。できるとしてどのような手続を経るべきですか。

2026/03/23 更新

訴訟上の和解

(1)裁判上の和解は、訴訟を終了させる合意(訴訟上の合意)と、私法上の和解契約(私法上の合意)の2つの背性質を有している。

(2)裁判上の和解が無効である、と主張するには、どのような要件が必要でしょうか。これは、裁判上の和解について既判力を認めるかどうか、が問題となります。

 既判力が認められると、①判決主文に示された判断に反する主張は許されません。②裁判上の和解の無効を主張するには、民事訴訟法338条1項の事由がある場合に再審の手続きが必要となります。

既判力とは、確定判決が後日の訴訟に及ぼす拘束力です。既判力の作用としては、後日の訴訟にて、当事者が、訴訟物たる権利又は法律関係の存否について争えないこと(消極的作用)と、後日の訴訟にて、裁判所が訴訟物たる権利又は法律関係の存否について矛盾した判断ができないこと(積極的作用)です。

既判力の肯定説

(1)民事訴訟法267条は、訴状の和解も確定判決と同様の効力を持っている、と来ている。

(2)実務上、訴訟上の和解には、裁判所が関与して、事案の妥当性を検討したうえで解決がされており、判決と同様の手続保障がされている。

民事訴訟法267条 和解調書等の効力
 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

既判力の否定説

(1)訴訟上の和解は、紛争を早期に解決したい等の当事者の意思によって、紛争を解決したものであり、判決と同様の手続保障がされていない。

(2)訴訟上の和解は、紛争を早期に解決したい等の当事者の意思によって、紛争を解決したものであり、その意思に無効・取消原因がある場合には取り消しが認められるべきである。

制限的肯定説

(1)判例は、制限的肯定説を採用する。

(2)訴訟上の和解には既判力を認める。しかし、訴訟上の和解について瑕疵(錯誤、詐欺、脅迫、無権代理)等による無効や取消しを主張することも認める。 

参考

 田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 174頁以下


訴訟上の和解について無効を主張する方法

 訴訟上の和解について錯誤を主張する方法としては以下の方法が考えられます。

(1)訴訟の再開を求めて、和解をした裁判所に期日指定を申し立てる方法
(2)和解無効の別訴を申し立てる方法
(3)請求異議の訴えで、和解調書に基づく強制執行の不許を求める方法(民事執行法35条)

参考
 田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 174頁以下

参考

 越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法 補訂版」110頁以下

 長谷部由起子「基礎演習 民事訴訟法 第3版」204頁以下

最判昭和33年6月14日 民集12巻9号1492頁

 訴訟上の和解で訴訟が終了した。しかし、錯誤があれば無効となると主張され、期日指定による訴訟の再開が認められた。

最判昭和43年2月15日 民集22巻2号184頁

 訴訟上の和解で訴訟が終了した。しかし、訴訟上の和解は、債務不履行によって解除されたが、別訴提起をすることが認められた。

 

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