Q 訴訟上の相殺とは何ですか。
2026/03/23 更新
訴訟上の相殺
(1)訴訟上の相殺は、当事者が口頭弁論または弁論準備手続においてする、自働債権と訴訟物となる請求権を相殺する旨の陳述をいう。
訴訟上の相殺は、実体法上の相殺の意思表示であるとともに、抗弁の提出です。
(2)相殺が認められると、被告は自働債権を喪失し、実質敗訴する。したがって、他の抗弁が認められない場合に、訴訟上の相殺は審理されるという順番が決まっている(勅使川原和彦「読解 民事訴訟法」200頁)。・・・①
訴訟上の相殺は、裁判所において判断されることを停止条件として実体法上の効力が生じる。(岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 」721頁)・・・②
(3)訴訟外で相殺を主張していた。これを訴訟で主張するのは、訴訟上の相殺に当たらない。この場合には、①②の性質は持たない。
参考
越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法 補訂版」20頁以下
既判力の客観的範囲
(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。
(2)相殺の主張を除いて(114条2項)、既判力は理由中の判断には及ばない 。
(3)つまり、被告が相殺の抗弁を主張し、その成否が裁判所に判断された場合、裁判所が自働債権を不存在としたその理由中の判断について既判力が生じる。
| 民事訴訟法114条 (既判力の範囲) 1項 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。 2項 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。 |
参考
長谷部由起子「基礎演習 民事訴訟法 第3版」170頁以下






