【採用面接の質問】採用面接時に質問してはいけないこと
2024/08/04 更新
採用面接時に質問してはいけないこと
(1)職業安定法指針(平成11年労働省告知141号)では、以下①②の情報を取得してはならない、と規定しています。
(2)以下の①②は本人の業務能力と無関係で、かつ、(プライバシー性が高い)要配慮個人情報にも該当します(個人情報保護法2条3項)。これらの情報を取得する(聞く)ことは許されません。
(3)もちろん、③差別につながること、業務上必要もない情報を取得する(聞く)ことは許されません。
①本人にとって責任のないこと
本籍・出生地に関すること
家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
住宅に関すること
生活環境、家庭環境などに関すること
②思想信条にかかわること(どんな思想を持つかは、個人の自由です)
宗教に関すること
支持政党に関すること
思想に関すること
③差別につながること
例えば、業務上の必要性もなくHIVの感染を聞くこと
業務上の必要性もなくLGBTQ(性的少数者)に該当するかを聞くこと
三菱樹脂事件(最高裁判例昭和48年12月12日判例)
(1)最高裁判例は、「企業には「採用する、しない。」を決める権利があり、採用面接のときに、採用希望者の思想信条を聞くことも許される。」と判示しました。
(2)しかし、昭和48年の時点での判断です。仮に、同様の問題について裁判になれば、同判例の考え方では判断されないと考えるべきでしょう。
厚生労働省の「公正な採用選考を目指して」
厚生労働省は、「公正な採用選考を目指して」を発表して以下の事項について質問したり、情報収集しないように呼びかけています。
(1)本人に責任のない事項 (あ) 本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します) (い)家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など) (う)住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など) (え)生活環境・家庭環境などに関すること (2)思想及び心情(本来、自由であるべき事項) (あ)宗教に関すること ・支持政党に関すること (い)人生観、生活信条などに関すること (う)尊敬する人物に関すること (え)思想に関すること (3)労働組合への加入等 (あ)労働組合への加入(加入状況や活動歴など) (い)学生運動などの社会運動に関すること (う)購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること (4) 採用選考の方法について (あ)身元調査などの実施 (注:「現住所の略図等を提出させること」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります) (い)本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用 ・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 |
参考となるHP
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm
実際にトラブルになることは少ない
(1)採用されなかった人は会社と接点を持ちません。したがって、質問の内容について訴えることは考えにくいです。
(2)採用された人は、採用時のやりとりについてまで文句を言うことが考えにくいです。
(3)もっとも、採用希望者も会社を査定しています。したがって、SNS等で炎上する可能性もあり、企業イメージの点から不適切な発言はするべきではありません。