Q 取適法(中小受託取引適正化法)の概略を教えて下さい。(令和8年1月1日から施行)
2025/10/18 更新
取適法(中小受託取引適正化法)

取適法(中小受託取引適正化法)とはどんな法律ですか?

取適法(中小受託取引適正化法)は、一定規模を持つ親事業者が、一定規模以下の下請事業者に対し、優越的地位を濫用することを禁止する法律です。
以下は、令和8年1月1日から施行された内容を前提とします。
下請事業者を保護する法律としては、取適法(中小受託取引適正化法)のほかに、物流特殊指定(特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法)や建設業法などがあります。
フリーランスを保護する法律としては、フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)もチェックが必要です。
フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)
①取適法が適用される当事者
資本金基準
| 取引の内容 | 委託事業者 | 受託事業者 |
| 物品の製造委託・修理委託・情報成果物作成委託(プログラム作成に係るものに限る)・役務 提供委託(運送,、物品の倉庫保管情報処理に係るものに限る)特定運送委託の場合 | 資本金3億円超 | 資本金3億円以下(個人を含む) |
| 々 | 資本金1000万円超 3億円以下 | 資本金1000万円以下(個人を含む) |
資本金基準
| 取引の内容 | 委託事業者 | 受託事業者 |
| 情報成果物の作成委託 (プログラム作成に係るのを除く)・役務提供委託 (運送、物品の倉庫保管、情報処理に係るものを除く) の場合 | 資本金5000万円超 | 資本金5000万円以下(個人を含む) |
| 々 | 資本金1000超5000万円以下 | 資本金1000万円以下(個人を含む) |
従業員基準
| 取引の内容 | 委託事業者 | 受託事業者 |
| 情報成果物の作成委託 (プログラム作成に係るのを除く)・役務提供委託 (運送、物品の倉庫保管、情報処理に係るものを除く) の場合 | 従業員300人超 | 従業員数300人以下(個人を含む) |
従業員基準
| 取引の内容 | 委託事業者 | 受託事業者 |
| 情報成果物の作成委託 (プログラム作成に係るのを除く)・役務提供委託 (運送、物品の倉庫保管、情報処理に係るものを除く) の場合 | 従業員100人超 | 従業員数100人以下(個人を含む) |
②取適法が適用される取引
下請法は全ての取引に適用されるわけではありません。(ア)製造委託、(イ)修理委託、(ウ)情報成果物作成委託、(エ)役務提供委託の4類型の委託取引についてのみ適用されます。(運送委託(荷主会社が運送会社に物品の運送を委託すること)も役務提供委託の一つであり、対象取引となります。)
(ア)製造、(イ)修理、(ウ)情報成果物(デザイン、プログラム)の作成、(エ)役務提供(運送、ビルメンテナンス、その他のサービス)の取引には、取適法が適用されます。
建物工事の下請
建物工事の下請は、建設業法の問題となります(取適法は適用されません)。
発注書の交付
①②の要件を満たす場合、委託事業者は、受託事業者に対し発注書(業務内容、納期、金額、支払い時期)を交付する義務があります。
禁止行為の禁止
①②の要件を満たす場合、委託事業者は、受託事業者に対し以下の行為をしてはなりません。
(1)注文した商品を拒否すること
(2)商品、サービスの受領後60日以内に代金を支払わないこと
原則として手形での代金支払が禁止されます。
(3)代金を減額すること
(4)正当な理由なく、返品を行うこと
(5)市場価格と比べて著しく低い金額を受託代金とすること。
(受託事業者の代金アップの交渉に真摯に対応しないことを含まれます。原材料のアップを原因とするなどの正当な代金のアップについては応じる義務があります。)
(6)商品、サービスの購入を強制すること
(7)受託事業者が、委託事業者の不公平な行為を公正取引委員会や、中小企業庁に知らせたことで、受託事業者に対し不利益な扱いをすること。
(8)原材料を提供した場合に、下請代金の支払日より早く請求したり、相殺で回収したりすること。
(9)一般の金融機関で割引できない手形で、代金を支払うこと。
(10)受託事業者に対し金銭、サービスの提供をさせること。
(11)契約内容の変更をしたり、仕事のやり直しをさせたりすること。
違反した場合のリスク
- 違反している疑いがある場合には、立ち入り調査等がなされるリスクがあります。
- 違反した場合には、社名等が公表されるリスクがあります。
- 違反した場合には、罰金等が科されるリスクがあります。
参考HP






