判例調査・文献調査の基本

下級審判決は拘束力を持たないことが多い

（１）ときどき、下級審判決を大量に引用してくる書面が出てくることがあります。しかし、これはあまり意味がありません。　
（２）裁判官は、最高裁判例は大切にしていますが、下級審判決はあまり重視していません。
（３）下級審判決は、個別の事件について別の裁判官が判断した一つの意見（考え方）にすぎないからです。
（４）何が重要な判例であるのかの見極めが大切です。

重要な判例の見分け方

（１）結論から言えば、多くの人が重要だと言っている判例が重要な判例です。
（２）どの本にでも、（あまり判例が載っていない）薄い本でも乗っている判例は重要です。

重要でない判例とは

（１）新しい種類の紛争が生まれたとき、はじめてこれを判断する裁判官は直感でこれを判断しなければなりません。そして、これらの多数の判決が出た時点で、過去の判例を分析してその結果を判決（裁判所）として固めていくわけです。
　初期の判例はバラツキがあります。そこで、これらを後日一つの考え方としてまとめるやり方には合理性があります。
（２）そして、その一つの考え方で説明できない判例は、重要でない判例に分類されて行きます。

判例調査の手法

（１）判例　→　専門書（論点）　→　判例　→　専門書（論点）を繰り返して、調査します。　
（２）「ある判例が重要だ。」と仮定する場合、その判例が掲載されている専門書の該当部分を読んで、そこで紹介されている他の判例をチェックし、その判例を頼りに、他の専門書を調べることを繰り返します。
（３）これによって、重要だとされている判例や、その判例を導く裁判所の考え方をチェックします。

参考

　中村 直人 、 山田 和彦「弁護士になった『その先』のこと。」６８頁

チェックすべき専門書

　下記の資料は少なくともチェックすることになります。
　　①最高裁の判決と、調査官解説
　　②判例タイムズの論文、判例タイムズ各判例についての解説
　　③裁判官が執筆した書物

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