最高裁判例の読み方

最高裁判例

（１）裁判官は、最高裁判例は重要視しています。
（２）控訴審の判決が最高裁判例と矛盾すると上告受理申立理由となります。裁判官は最高裁判決の判断とは矛盾しない判決を書きます。

重要な判例と重要でない判例

（１）判例は、個々の裁判官の考え（判断）にすぎません。裁判官が、執筆した書物の中で、過去の判例を分析してその結果を「判決（裁判所）の考え方」として発表します。他の裁判官がこれを尊重して、裁判所の考え方が生まれます。
（２）個々の判例（裁判官の考え方）には、どうしてもバラツキが生じます。そこで、これらを個々の判例を分析して、一つの考え方としてまとめるやり方には合理性があります。
（３）そして、その一つの考え方で説明できない判例は、重要でない判例に分類されて行きます。
（４）最高裁判例は基本的には重要な判例です。しかし、３０年も前の判断であれば、判例変更の可能性もあります。最高裁判例であっても、現在、どのような評価を受けているかもチェックしなければなりません。

最高裁判例の先例拘束力

（１） 最高裁判例の判決文の中でも、重要な個所と、重要でない部分があります。
（２） 結論として、多くの人が重要だと言っている部分は重要となります。そうでない部分は重要ではない部分となります。　
（３） 裁判官は、学説を重視しません。裁判官は、他の裁判官が書いた書物を重要視します。そこで、裁判官が書いた書籍において、どのような解説（評価）がされているかが重要になります。

チェックすべき専門書

　下記の資料は少なくともチェックすることになります。
　　①最高裁の判決と、調査官解説
　　②判例タイムズの論文、判例タイムズ等に記載されている各判例の解説
　　③裁判官が執筆した書物

最高裁判例についての個々の意見

（１）最高判例には、法廷意見以外に、補足意見等の個々の意見が記載されることがあります。しかし、これらの意見等は、法廷意見に採用されなかった部分ですから、実際には、拘束力を持ちません。
（２） 結局は、裁判官が書いた書籍において、判決のどの部分がどのような解説（評価）がされているか、が重要になります。

参考
　中村直人「訴訟の心得 」２３頁以下