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予防法務

Q ハラスメント研修として、どんな研修が有効でしょうか。

2025/12/26 更新

ハラスメント対策

(1)現代の企業経営において、ハラスメント対策は企業の存続を左右する重要な経営戦略となっています。単なる法令遵守のレベルを超え、組織風土の根幹に関わる問題として認識しなければなりません。その理由は、ハラスメントが引き起こす深刻な影響にあります。
(2)ハラスメントは優秀な人材の流出、すなわち「離職率の悪化」に直結します。ある調査によれば、過去1年間でハラスメントに遭遇した人は半数以上に上るというデータもあり、問題は看過できないレベルにあります。被害者だけでなく、ハラスメントが横行する職場環境に失望した周囲の従業員もまた、静かに組織を去っていきます。さらに、こうした内部事情は、匿名で投稿される「採用サイトの口コミ」によって瞬く間に外部へ拡散されます。ネガティブな口コミは企業のブランドイメージを著しく毀損し、採用活動において深刻な障害となります。つまり、ハラスメント対策の怠慢は、人材の流出と流入の両面で企業に打撃を与えます。

有効な対策と研修

(1)有効な対策とは何でしょうか。一般的なハラスメント研修は、「何をしてはいけないか」という禁止事項(Don’t)の伝達に終始しがちです。しかし、これだけでは現場の複雑な人間関係に対応できません。本当に必要なのは、「どうすればよいか(How to)」を具体的に学ぶ研修です。
(2)例えば、「上司の立場で、部下が他者からハラスメントを受けていることに気づいたらどう介入するか」「部下の立場で、同僚のハラスメントを見つけたらどう行動するか」といった、傍観者(バイスタンダー)にさせないための実践的なスキルを学ぶことが極めて有効です。

現場の問題を解決せよ

(1)現場で起きる実際の問題を取り上げなければ、研修の意味はありません。「2度あることは3度ある」という言葉通り、実際に起きた現場の問題の解決が大切です。しかし、生々しい事案はプライバシーの問題もあり、ヒアリングや共有が困難でした。
(2)ここで活用が期待されるのが「生成AI」です。最近の生成AIは高性能化しており、「〇〇のような状況を再現する台本を作って」と指示するだけで、特定の個人が特定できない形で、現場で起こりがちなハラスメントの具体的な事案を再構成することが可能です。
(3)研修では、回答を用意する必要はありません。再現された問題を用意すればよいのです。グループディスカッションで、どうすればよかったのか、全員で考えてもらいましょう。

改善ループの構築

(1)研修と両輪で進めるべきが「報告体制の確立」です。相談窓口を設置するだけでなく、それが実効性を持つ仕組みでなければなりません。何がハラスメントに該当するかの線引きは曖昧になりがちです。そこで、「こういうことがあったら報告してほしい」という具体的な事案を3つほど明示し、報告の心理的ハードルを下げることが重要です。

(2)最終的に目指すべきは、現場と本部が連携した「継続的な改善ループ」の構築です。
(3)現場の不安や不満が報告として本部に集める。本部はそれを分析し、実態を把握した上で、生成AIも活用しながら新たな研修台本を作成する。その台本で現場が研修を行い、そこで見つけ出した「現場の答え(具体的な対策案)」を、さらに本部が吸い上げる。この双方向のサイクルを回し続けることこそが、真に風通しの良い、ハラスメントを許さない組織文化を醸成する唯一の道となるでしょう。

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