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弁護士業務の流れ

控訴審の審理

2023/03/26 更新

控訴審の審理

(1)控訴審は、第一審での審理の結果を引き継ぎます。

(2)控訴すると、第一審の判決の効力が消えて、判決を出す前の段階に戻るイメージです。控訴審の裁判官がもう一度判決を書くいイメージです。

(3)第一審にて、必要な取り調べを既に行っていることが前提となります。控訴審では、追加の取調べの必要性については厳しく判断されます。

(4)書証(文書の証拠)の提出は認められますが、新たな証人申請(目撃者等の証人を呼んで話を聞く手続)はなかなか認められません。

控訴審の裁判の裁判所の釈明

(1)第一審では、裁判所は事前に心証を開示して、判決の見込みをある程度教えてくれます。
 これに対して、控訴審では、判決の見通しをを伝えると、敗訴する側の当事者にだけが積極的に立証をするチャンスをあたえることになり公平ではなくなるということから、心証の開示には消極的です。

 第一審の裁判官も、控訴審の裁判官も同じ専門家です。したがって、控訴審も第一審と同じ内容の判決になることが多く、第一審で勝訴した被控訴人は「第一審で同じ判決が出るだろう。」と油断していることが多いです。
 しかし、控訴審で、逆転判決を書く場合にも、控訴審裁判官は被控訴人に対し逆転判決を出す見込みを伝えることに消極的であり、控訴審判決で逆転判決が出てびっくりするということが起きます。

(2)裁判官が、第一審で勝訴した被控訴人に対し、「他に立証はありませんか。」と聞いてきた場合には、「逆転敗訴の可能性がありますよ。追加の立証は本当に不要ですか。」という意味化かもしれないので、裁判官のシグナルは見落とさないようにしましょう。

控訴審の結論

(1)原判決取消しの判決(第一審と異なる結論を控訴審が出す)のは、15%しかありません。

(2)なお、33%の事件は、控訴審で和解しています。(平成18年のデータ)

具体的な控訴審の流れ

裁判官

 「控訴人は控訴状、控訴理由書を陳述でよろしいですか。」

控訴人代理人弁護士

 「はい。」

裁判官

 「被控訴人は答弁書を陳述でよろしいですか。」

被控訴人代理人弁護士

 「はい。」

裁判官

 「それでは、これで本日、結審となります。判決日は〇月〇日の〇時です。」

 「両代理人は和解について協議したいので、別室に来てください。」

解説

(1)控訴すると、第一審の判決の効力が消えて、判決を出す前の段階に戻るイメージです。控訴審の裁判官がもう一度判決を書くいイメージです。
(2)したがって、控訴審そのものは、これだけの手続きで終わってしまいます。
(3)その後は、裁判官を介して、判決前に和解できるかどうかだけが問題になります。
(4)和解できなければ、そのまま控訴審の判決が出ることになります。

 

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