部下に自分の問題を気づかせる方法
2024/09/17 更新
部下に自分の問題を気づかせる方法
(1)感情的な部下が自分に問題相談してきたが、その部下が自分の問題に気がついていない。
(2)その部下に、自分の問題をどうやって気づかせたらよいでしょうか。
部下に自分の問題を気づかせる方法
1 頭の整理
(1)自分のことを自分で正確に理解することは難しいです。
(2)自分の問題について、他人が悪いという形で相談された場合にはどうやって対応したらよいでしょうか。
(3)論理的に、相談者の発言が間違っていると否定しても、言い合いなりかねません。
2 対応のポイント
この場合には、以下の流れで対応しましょう。
(1)アドバイスはしない。
(2)相談者が何を感じているか、をヒアリングする。
(3)相談者の話を整理しよう。
(4)相談者が関係ない話を初めたら、共通点を探そう。
(5)相談内容をオウム返しする。
(6)身勝手な意見であっても、部下の気持ちを受け止める。
(7)「前にも同じようなことがなかったか。」と聞いてみましょう。
「相談者が何を変えれば、状況は変わりますか。」と聞いてみましょう。
実際の対応
ポイント
アドバイスはしない。
部下B
この前、C部長に叱られたのが本当に悔しくて、泣いてしまいました。
上司A
どんなことがあったのですか。
部下B
部下Bの説明(省略)(省略)
ポイント
相談者が何を感じているか、をヒアリングする。
上司A
Bさん(部下)は、どのように感じたのでしょうか。
部下B
部下Bの説明(省略)
ポイント
相談者の話を整理する。
上司A
「ちょっと待ってくださいね。先ほど、8月21日に、山田君と言い合いなった。」件までは理解できたのですが、その後の話が分かりませんでした。そこからの続きをもう一度教えてもらえませんか。」
解説
(1)興奮気味の相談者の話をもとに戻してあげて、時系列にそって話せるように誘導します。
(2)相談者の話を聞くことが大切ですが、相談者が時系列にそって話せるわけではありません。
(相談者から見た)当時の出来事を聞くためには、軌道修正が必要です。
(3)話を遮ることにはなりますが、混乱している相談者の話を整理してあげることになるので、最終的には、相談者に喜ばれることが多いです。
ポイント
(1)談者が関係ない話を初めたら、共通点を探す。
(1)ときどき、相談者が本論と関係ない話を熱く語りだす場合があります。聞き手からすれば関係ない話に思えるかもしれません。しかし、相談者は「本件と関係がある」と思ったからこそ、話しているのです。
上司A
「本件と、そのお話の共通点は〇〇ということなのでしょうか。」
部下B
「そのとおりです。」
上司A
「なるほど、お父さんとの関係でも悩んでおられたのですね。そのこともあって、理不尽な要求に応じることに心理的な抵抗があるのですね。」「大人の対応ではないと気づきながらも、C部長の要求が理不尽だと感じると、どうしても応じれないのですね。」
ポイント
身勝手な意見であっても、部下の気持ちを受け止める。
上司A
×「提出書類を何か月も出さなかったのであれば、それは、C部長も怒ると思います。」
〇「C部長の立場からすれば、提出書類を2か月も出せなかったとすれば、それは焦ると思います。」「ところで、Bさん(部下)が2か月も提出書類を出せなかったのは何か事情があるのではないですか。」
部下B
部下Bの説明(省略)
上司A
「なるほど、〇〇の書類を無くしてしまったが、それを言い出せなかったのですね。」「そうだとすると、書類を出せなかった理由もあるわけですね。」
ポイント
「前にも同じようなことがなかったか。」と聞いてみましょう。
「相談者が何を変えれば、状況は変わりますか。」と聞いてみましょう。
上司A
「ところで、今回、Bさん(部下は、書類をなくしてしまったことを言い出せなかったために、部長Cから叱責されることになりました。」
「Bさん(部下)にとって、言いたいことがいえずに、トラブルになったことは、他にもありませんか。」
部下B
部下Bの説明(省略)
上司A
その後は、「Bさん(部下)が、何かを変えれば、状況は変わりますか。」と質問して、Bさん(部下)に自分の問題点に気付いてもらいます。
一緒に考える
(1)まずは、相談者の相談内容を客観的に整理しましょう。
(2)もし、相談者さんに落ち度がある場合には、そのことを気づいてもらうことから始めます。
(3)もし、メンバー同士の相性が悪いと考えているのであれば、ハラスメントにあたるかは別にして、職場の異動等も検討してよいでしょう。仮に、これを放置すればトラブルになります。
参考
今泉智樹「クライアントの信頼を深め 心を開かせる カウンセリングの技術」54頁以下