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弁護士業務の流れ

示談交渉の基本

2024/07/12 更新

示談交渉の基本

 交渉をするには、以下のコツがあります。

1 解決提案に合理的根拠があること

(1)最初に提出する示談案は、①算出根拠があること、②相手方が納得しえるものであることが必要です。

(2)示談交渉に失敗すれば訴訟になります。逆に言えば、相手方は示談を拒否して訴訟(判決)を選択することができます。示談は相手方が示談することを選んで頂いて初めて成立します。示談の提案は、①算出根拠があること(相手方を納得するだけの理由を説明できること)、②相手方にとって(結果の見えない)訴訟よりも魅力的な提案であることが必要です。

(3)あまり、不適切な示談条件を出すと相手方を怒らせてしまうので、注意して下さい。

2 譲歩の余地を残すこと

(1)最初に提出する示談案は、こちらとして提案できる条件を全て出していけません。

(2)例えば、相手方が先に示談案を出してきたとしましょう。あなたはもう少し条件を上げられないか、交渉したいと思いませんか。

(3)第一回目に提出する示談案にこちらが提案できる条件を全て出してしまうと、後に困ったことになります。事前にこちらとして提案できる条件を検討しておきましょう。

3 譲歩の余地を示すこと

(1)こちらが出した示談案に関し、相手方に対して譲歩する余地があることを示しましょう。相手方に交渉の余地を見せなければ、簡単に交渉が決裂してしまいます。

(2)例えば、私は弁護士ですので相手方に対して、「さすがにこの金額は、おかしいと思っています。しかし依頼者が納得してくれません。もう少し依頼者を説得してみます。」と言ったりします。

(3)逆に、経営者の方であれば、「私は、○○だと思うのだけど、弁護士が駄目だと言うのです。」と答えるのも有効です。

 例えば、私は示談案を説明した後に黙り込みます。相手方は「それではあんまりだ。」と抗議するでしょう。その後、私は「分かりました。持ち帰って検討します。」と返事して交渉の余地があることを態度で示したりもします。

4 譲渡するときのコツ

(1)最初に提出した示談案を相手方に拒否されても、簡単にこちらの条件をあげてはいけません。

(2)相手方から、「10万円支払う。」「じゃあ。20万円支払う。」「よし分かった。100万支払う。」と交渉されれば、どうなるでしょう。
 あなたは「どの額が妥当なのか。」分からなくなりませんか。あなたは、「相手方が提示した示談案があなたを罠にはめるものである」ことにも気づくでしょう。簡単に条件があれば、あなたはもっと粘れば条件が改善されると思ってしまいませんか。

(3)最初に戻りますが、 最初に提出する示談案は、①算出根拠があること、②相手方が納得しえるものであることが必要です。不適切な示談条件を出すと、相手方の信頼を損ない、示談交渉が難しくなります。

5 交渉決裂も選択肢に入れる

(1)示談交渉が決裂した際の不利益について検討しましょう。

(2)示談交渉に失敗すれば訴訟になります。逆に言えば、あなたは、示談交渉をあきらめて訴訟(判決)を望むことができます。あなたが示談交渉において譲歩できる条件は、示談交渉が決裂した際の不利益分までです。まずは、譲歩できる範囲を明確にしましょう。示談交渉が決裂しても不利益が小さければ、強気に交渉できます。

6 お互いの立場を尊重する

(1)相手方に、自分の立場を分かってもらいましょう。

 例えば、「示談交渉が決裂しても、依頼者が受ける不利益は××しかない。私は、代理人(弁護士)であるので、△△まで条件をあげてもわらなければ、依頼者を説得できない。」と説します。

(2)逆に、「私も、依頼者を説得したいと思っている。私が依頼者を説得する理由を示してほしい。根拠を説明して頂けなければ(つまり、根拠がなければ)、こちらの条件をあげることはできない。」と交渉したりします。当然、こちら側に不利益な真実の証拠が示されれば、訴訟になった際に不利になると、依頼者を説得しましょう。

(3)相手方を言い負ましてはいけません。例えば、相手方の言い分がおかしいことを論破したとします。相手方は、論破されたからとって、(相手方側の)依頼者にそのことを説明してくれるわけがありません。

 示談交渉で終るには、相手方の同意が必要です。相手方のプライドを傷づけては何もできません。

 「あなたの言い分は、〇〇がおかしい。」という言い方はふさわしくありません。

 「◯◯とおっしゃりましたが、この点については、△△という見解もあります。したがって、妥当な金額は××円と考えます。私は、代理人(弁護士)であるので、××円まで下げてもらえないと、立場上は依頼者に説明ができません。」と回答しましょう。

7 最後は、運と経験です。

(1)最後は、運と経験です。

(2)結局、示談は相手方との合意があって初めて成立します。どんなに、交渉の上手い名人でも、相手方が硬直的であれば、どうしようもありません。

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