反対尋問の実例(仮説立証のケース)
2024/02/23 更新
反対尋問(仮説立証)
こちらにとって有利な仮説を設定し、その仮説を根拠付ける事実を一つ一つ確認します。
実際のケース
1 獲得目標(大)
社長のパワハラが原因で、Aはうつになった。
2 獲得目標(小)
社長は具体的な経営方針を指導できる実力はなく、営業全体に怒鳴り散らす形で圧力をかけて、営業成績を上げようとしていた。
3 反対尋問の実際
弁護士
「毎月の売上は、常に達成できている状態ではないですよね。」
証人
「そうですね。」
弁護士
「社長が指導する営業戦略ですが、「新規取ってこい。」「今のお客さんを大事にしろ。」「死ぬ気で働け。」という精神論ですよね。」
証人
「確かに、そうかもしれません。」
解説
「社長の指導は精神論であった。」という事実については、証人が否定しても、「では、具体的な指導内容を教えてください。」という形で追及することができる。
弁護士
「Aは営業部長だったので、社長はAに対し、毎日、営業成績の達成、不達成について毎月聞いていましたよね。」
証人
「毎日かは分かりません。」
弁護士
「BさんはA社の従業員ですよね。」
証人
「はい。」
弁護士
「BさんはA社とトラブルになっていますか。」
証人
「私は知りません。」
弁護士
「BさんがA社に対して不利益な嘘をいう理由をAさんは知らないわけですおね。」
証人
「そうなりますね。」
弁護士
「Bさんは、先ほどの証言で、『社長はAに対し、毎日、営業成績の達成、不達成について毎月聞いていました。』と証言されていましたよ。」
「繰り返しになりますが、Bさんが嘘をいう理由に心当たりはないのですね。」
証人
「はい。」
弁護士
「社長はAの能力に対し不足だと思っていたわけでなく、Aを首にしようとはしていなかったですよね。」
証人
「そのとおりです。」
弁護士
「社長はAさんを頼りにはしていたのではないですか。」
証人
「そのとおりです。」
弁護士
「これは、やられた方とやった方の違いですが、社長はAさんに圧力をかけて成績を上げようとしていただけですよね。」
証人
「私には分かりません。」
弁護士
「社長は指導するときには、大声をあげていましたよね。」
証人
「分かりません。」
弁護士
「いつも一緒の職場にいて分からないというのは無理があるでしょう。」
解説
ここで、一緒のフロアで働いていることは事前に、質問しておく必要がある。そうでなければ、働くフロアが違うという言い訳を許すことになる。言い訳を予想して、封じることが大切です。