【文書の書き方】弁護士業務とよい文書(定義)
2024/08/27 更新
弁護士業務とよい文書(定義)
(1)弁護士業務とよい文書とは以下の工夫がされている文書です。
(2)メールや、通知書、内容証明、裁判文書、送付状も含みます。
日付
(1)いつ書いた文書なのか、いつの出来事の文書なのか、明確になっていることが必要です。
(2)弁護士業務の場合には、事件集結まで2年以上かかることがあります。したがって、文書で今日や、昨日という言葉を使うことは避けましょう。
仮に、今日や、昨日という言葉を使う場合には日付を入れましょう。例、「今日(令和6年3月3日)の打合せについて、文書を送ります。
(3)送付状に日付が入れ忘れたりしていることもありしますが、仕事の文書全てに、日付を入れましょう。
素人でも分かる表現を使う
(1)法律事務所の場合には、弁護士が作成して事務員(非資格者)がチェックします。したがって、法律の知識を知らない人でも読んで、インターネットで調べれば分かる文書を作りましょう。
専門職(弁護士)しか読んで分からない文書を作ると、誰もチェックできません。
(2)弁護士が作成して依頼者にチェックしてもらいます。しかし、これでは、意思疎通に齟齬がでる可能性があります。したがって、素人でも分かる表現を使う必要があります。
その文書を読んだだけで、意味が分かる文書にしましょう
(1)前述したように、その文書を依頼者にチェックしてもらうことになります。依頼者が前の文書を読み返してチェックしたりはしてくれません。したがって、依頼者にも理解出来る文書であることが必要です。
(2)特に中小企業法務の場合には、社長と担当者が分かれて、担当者が辞めてしまったり、担当者が社長に正確に伝えれているか分かりません。したがって、以下のような工夫が必要です。
(3)例えば、内容証明であれば、その文書をもらった相手方が、専門家に相談していって、その専門家がその文書に書かれていることが真実がどうか相手方に聞けば、紛争全体を把握できるレベルで、最初から最後まで時系列における出来事が把握できるレベルの文書を書くことが必要です。
(最初に出す)内容証明(通知書)をしっかり書いておくことで、事務所全体(チーム)で、情報共有も可能となるレベルの文書を書くべきです。
(4)裁判の文書は大量になります。依頼者がこれを見直しながら文書をチェックしてくれるわけがありません。「前の文書では、相手はこんなことを言っていて、ここがおかしい。だから、本書面で、◯◯と主張する。」と前提から説明しなければ、よい文書とはいえません。
例1 認否の工夫
(1)相手方の準備書面第3の2は認める。
(2)確かに、◯◯は△△した。
※ 上記のように書いておけば、何を認めたのか分かります。「(2)確かに、◯◯は△△した。」と書いて、何を認めたのか明示しておきましょう。
例2 和解の工夫
(1)令和6年6月末日に退職する。
(2)令和6年7月10日に、同日が支払日の給与は通常通り支払う。
(3)上記とは別に、解決金◯◯を支払う。
※ 解決金の金額は、通常の退職金を含まない金額であることを分かりやすく記載しています。
例3 文書の位置付け
(1)本書にて、相手方の準備書面(2)について反論する。
(2)相手方は、準備書面(2)について「◯◯」と主張する。
(3)しかし、これは✕✕だ。(結論)
(4)なぜなら、◯◯
※ 1年後、2年後に文書を読み返すこともあり、文書の位置付けを明確にすると分かりやすいです。
追加質問をしない(できない)前提で文書を作りましょう
(1)裁判では裁判官が交代することがあります。また、控訴すれば、裁判官が交代します。
(補足説明なしに、)その文書だけで意味を伝える文章力が必要です。
(2)裁判所で、文書の意味を聞かれたら、「反省する。」レベルで考えていく必要があります。
少数説は無視する。
(1)相手方が、少数説(通説ではない説)について、長々と記載してくることがあります。
(2)これについては、簡潔に、「独自の見解なので、不当です。」と簡単に反論しましょう。つきあって長々と反論する必要はありません。
(3)もちろん、依頼者に反論しない理由を分かってもらう必要もあります。「通説は◯◯と考える。」という文献等を付けてもよいかもしれません。