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弁護士業務の流れ

【受任時のチェック】本人確認

2024/09/11 更新

依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定

(1)日弁連は、「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定」を定めています。
(2)同規定は、「弁護士が依頼を受けるにあたって本人確認すべきこと」「弁護士業務に関係なく金員等を扱ってはいけないこと」「弁護士が騙されて、犯罪に理由されてはならないこと」を定めています。
(3)以下の文章は、弊所での業務にあわせて、規定の内容を読み替えたものとなります。

 https://www.nichibenren.or.jp/activity/improvement/mimoto_kakunin.html

本人確認

(1)弁護士は、200万円を超える金員を預かる可能性がある仕事を受ける場合には、本人確認をしなければなりません。
(2)弁護士業務の場合には、請求する側と、減額交渉をする側(請求される側)に分かれます。
 減額交渉をする側(請求される側)の依頼を受ける場合には、本人確認をする必要がありません。
(3)弁護士が、依頼者に代わって相手方に金銭請求をする場合、相手方から支払われたお金を弁護士の預り金口座に入金してもらい、弁護士報酬を控除して、依頼者に返還します。請求する側の依頼を受ける場合で、かつ、請求額が200万円を超える場合には、依頼者の本人確認をしなければなりません。

個人と本人確認

(1)「請求する側の依頼を受ける場合」で、かつ、「請求額が200万円を超える場合」でかつ、「依頼者が個人である場合」には、依頼を受けるさいに、個人と面談(ウェブ面談を含む)して身分証を見せてもらいます。
(2)身分証が偽造されていないか、確認し、身分証の確認をしたことの証拠として身分証のコピーをとります。
「弁護士として依頼を受けるためには、本人確認をしなければなりません。」「お名前、住所、生年月日を教えて下さい。」と述べて、身分証の記載と一致するかを確認します。
(3)どのような方法で本人確認確認をしたのか、記録を残す必要があります。

法人と本人確認

(1)「請求する側の依頼を受ける場合」で、かつ、「請求額が200万円を超える場合」でかつ、「依頼者が法人である場合」には、依頼を受けるさいに、法人登記を取得し、法人の代表者と面談(ウェブ面談を含む)して身分証を見せてもらいます。
(2)身分証が偽造されていないか、確認し、身分証の確認をしたことの証拠として身分証のコピーをとります。
「弁護士として依頼を受けるためには、本人確認をしなければなりません。」「お名前、住所、生年月日を教えて下さい。」と述べて、身分証の記載と一致するかを確認します。
(3)代表者が忙しいということであれば、適切な方法で、本人確認をしましょう。
(4)例えば、法人登記の住所に委任状を郵送する方法が考えられます。その住所の郵便物を受け取ることができる人であることもって確認することが考えられます。
 例えば、法人登記の住所と、HPの住所を確認し、かつ、HPの電話番号に電話する方法が考えられます。通常、他人がその会社のHPを作ってこれを運用することはできません。したがって、対外的に法人登記上の法人として活動し、他人がそのことについて争っていないことをもって、そのHPの運営者が本人であることを確認します。
(5)どのような方法で本人確認確認をしたのか、記録を残す必要があります。

法律業務継続中のチェック

(1)弁例えば、護士は、過去におきた殺人罪について弁護することは許されます。しかし、これから起きる100円の窃盗事件を手伝ってはいけません。
(2)弁護士は、違法行為を助長してはなりません。したがって、以下のような事情があれば、依頼を断るべきか、断らなべきか、これを検討した結果について、記録を残す必要があります。

◯依頼者が、訴訟等の当事者にあたるか疑問があるとき
◯依頼者が、A法人の担当者を名乗っていたが、そのA法人の担当者として権限を有するか疑問があるとき
◯依頼者のビジネスモデルが消費者の権利を不当に侵害するものであり、かつ、依頼者がビジネスモデルを継続し、その消費者からの問い合わせについて弁護士に依頼するとき(全体として、弁護士が、他人の権利侵害に利用されるとき)
◯依頼者が、法律を無視した交渉を複数依頼してくるとき(全体として、弁護士が、他人の権利侵害に利用されるとき)
◯依頼者から、法律業務と関係ない金員を預かるとき

法律事務所(組織)としての約束

(1)法律事務所として、「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定」を守らなければなりません。
(2)法律事務所の責任者は、「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定」について、社員教育をしなければなりません。
(3)法律事務所の責任者は、「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定」に関して、その事務所の運営に応じた規定を作らなければなりません。
(4)法律事務所の責任者は、「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定」の趣旨に基づいた、運用がされているかを定期的に確認しなければなりません。
(5)法律事務所に所属する弁護士は、弁護士会からの質問に基づいて調査報告書を出さなければなりません。

参考

 日弁連マネー・ローンダリング対策推進協議会編著「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保持等に関する規定【改定版】」

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