【エンパワーメント】行動指針(クレド)をもとに、現場の社員に判断を委ねる
2024/03/17 更新
行動指針(クレド)
(1)行動指針(クレド)は、ビジョン(ミッション)を実現するために、社員が守るべき行動指針です。
(2)社員が、行動指針(クレド)を守ることで、ビジョン(ミッション)を実現することができるものであることが必要です。
指針がたくさんある会社もあれば、少ない会社もあります。内容が具体的な会社もあれば、抽象的な会社もあります。
例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のクレドは以下のようなものです。
我が信条 我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる患者、医師、看護師、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。顧客一人ひとりのニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべての活動は質的に高い水準のものでなければならない。 我々は価値を提供し、製品原価を引き下げ、適正な価格を維持するよう常に努力をしなければならない。顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。我々のビジネスパートナーには、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。 我々の第二の責任は、世界中で共に働く全社員に対するものである。 社員一人ひとりが個人として尊重され、受け入れられる職場環境を提供しなければならない。社員の多様性と尊厳が尊重され、その価値が認められなければならない。社員は安心して仕事に従事できなければならず、仕事を通して目的意識と達成感を得られなければならない。待遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全でなければならない。社員の健康と幸福を支援し、社員が家族に対する責任および個人としての責任を果たすことができるよう、配慮しなければならない。 社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない。 我々は卓越した能力を持つリーダーを任命しなければならない。 そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。 我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。世界中のより多くの場所で、ヘルスケアを身近で充実したものにし、人々がより健康でいられるよう支援しなければならない。 我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し、健康の増進、教育の改善に寄与し、適切な租税を負担しなければならない。我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。 我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。 事業は健全な利益を生まなければならない。我々は新しい考えを試みなければならない。研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、将来に向けた投資がなされ、失敗は償わなければならない。新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。逆境の時に備えて蓄積を行なわなければならない。これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する |
クレドの解釈
Q 判断に迷ったときにクレドに答えが書かれていますか。
A 書かれていません。
Q クレドををどのように解釈するかは、個々の社員の判断に任せてよいのか。
A クレドの会社は、現場の社員に任せるべきです。
もちろん、各人の解釈が分かれることもあります。しかし、その際に、別の社員にも相談して各人の意見を反映させてしっかりと議論して結論を出せていれば、その答えを会社が尊重する仕組みを作るべきです。
参考
ハーバードビジネスレビュー2024年4月号62頁