【スタートアップ】スタートアップと人事戦略
2024/02/14 更新
グレイナーの組織進化モデル
(1)組織の成長について、グレイナーの組織進化モデルというものがあります。
(2)組織の成長にしたがって、課題が出てきます。
プロダクトの開発時期
(1)世に無い新しい商品、サービスの開発時期です。
(2)アイデアがあるが、それが商品になるかは、分からない時期です。
(3)この時期に人員を増やしすぎると、資金枯渇までのリミットを早める結果となります。10名以下の少人数組織されます。
(4)この時期の目標は、プロダクトがスケールするデータを集めれることです。
参考
堀新一郎他「STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか」115頁
田口光「スタートアップ企業の人事戦略」 28頁
(5)この時期には、人数も少なく、人事のルールもほぼありません。
リーダーシップの危機
(1)プロダクトがあたって、急激に売り上げ増えます。これにともなって、人員を増やします。
(2)組織内での役割分担を明確に決める必要ができる。課題(情報)の共有方法や、上司決済の方法を決めることになる。
(3)もともと、少数のメンバーで阿吽の呼吸でやっていた組織から、ルールによる意思決定へ変化する。
(4)「今までCEOが決定していた◯◯は、△さんに聞いてほしい。」と権限委譲も始まる。
(5)この段階になって、人事戦略が必要になってきます。ビジョン等の作成もこの段階で必要になります。
人の入れ替わり
(1)もともとの社員は、社会の課題の解決をしたいと考え、実際のユーザーの存在を感じ、その反応を見ながらプロダクトの改良を一心不乱に行う起業家です。しかし、こういった社員は、会議等の手続重視のオペレーションを嫌う傾向があります。
組織が大きくなれば、マネージメントの重要性が増えていきます。
(2)創業期に優秀な人材と、マネージメントが得意な人材は異なります。この時期には、自ら組織を去る者、結果を出そうともがく者、単にしがみつく者に別れます。
(3)基準を作り、その基準に基づいて、社員のボジションを変更をする必要がでてきます。
(4)例えば、今は伸び悩んでいるが、一人で黙々と会社の課題を解決する能力が高い創業期の社員には、声をかけて、適切な仕事を見つけてそこに配置することが必要です。
(5)マネージメント職に向かずに変化することもできない者は、かつて優秀であった者であるとしても、退職してもらうことが必要です。
参考
田口光「スタートアップ企業の人事戦略」 32頁、175頁
キャムズの谷
(1)新しい商品は、新しい物好きな人(イノベーター)が購入をはじめます。
次に、ビジョナリー(アーリー・アドプター)が、他人又は他社との差別化のために、新しい商品を購入します。
その次に、アーリー・マジョリティー(実利主義者)が商品の購入をします。この(2)と(3)の顧客層の差がキャズムの谷です。
(2)この段階まで進んだスタートアップは、ビジョナリー(アーリー・アドプター)に対する販売によって、売上が増えてきます。しかし、ビジョナリー(アーリー・アドプター)の数がゼロになれば、売上がピタリと止まってしまいます。
右肩上がりだった会社ですが、キャズムにくると、突然、売上がゼロになります。
(3)ビジョナリー(アーリー・アドプター)は、他人が使っていない商品を購入することで、他人又は他社との差別化を図っています。商品が未完成であっても、大目に見てくれます。ビジョナリーはエネルギッシュで、権原やお金を持っています(社長、経営者です)。
(4)アーリー・マジョリティー(実利主義者)は、「良い商品であれば買う。」と考えます。商品は完成されていることが必要です。性能よりも信頼を重視します。商品の使い方、カスタマイズなどのフォローも求めます。
(5)アーリー・マジョリティー(実利主義者)向けの販売をするために、商品開発、サポート体制、マーケティングのやり直しが必要です。これが、キャムズの谷です。
(6)資源には限りがあります。この時期には、顧客をしぼり、必要な拡張機能をしぼり、商品開発、サポート体制、マーケティングのやり直しを行います。
しかし、過去の成功体験に引きずられて、全方位的なマーケティングにお金を注ぎ込めば、スタートアップは倒産してしまいます。
ダーウィンの谷(競合他社の参入)
(1)自社のビジネスがうまくいくと、これをコピーして、追いかけてくる企業が必ず生まれます。
(2)猛烈な勢いて追いかけてくる新規参入社を引き離すために、さらにスピードアップが必要です。
(3)これらの実現のためには、社員が一致団結する組織作りが必要になります。
参考
田口光「スタートアップ企業の人事戦略」 20頁以下