【給与の決定】ノーレイティング(人事考課の廃止)
2024/01/09 更新
ノーレイティング(人事考課の廃止)
アメリカでは、人事考課をしない(少なくとも、給与と評価を区別する)という動きがあります。
人事考課と納得度
(1) 人事考課は、会社の貢献度が高い人を適正に評価する仕組みです。
(2) 人事考課をするには、大変なコストがかかります。客観的な評価をするためには、評価者を評価し、その評価を調整する等の対応まで必要になっています。
(3) どんなにコストをかけても、結局、評価の高い人は評価について満足するし、評価の低い人は評価について満足しない、という結論は変わりません。
(4) だったら、人事考課など辞めてしまおうという考え方が出てきます。
ビジネスのスピードアップ
(1)ビジネスのスピードに、評価制度が追いつきません。
(2)ビジネス環境が変われば評価項目の変更が必要ですが、評価項目をいちいち変更することができません。
チームの評価の重要性
(1)コラボレーションの重要性、プロジェクト(チーム)の重要性が増してきました。
(2)他人が成績をあげるのを手伝ったり、逆に、他人に助けてもらったりすることをどう評価するかという問題がでてきます。
(3)プロジェクト(チーム)では、(欠点も大きいな長所も大きい)とがった人材が活躍します。しかし、既存の評価項目では、こういった人材を評価することはできません。
チャレンジの重要性
チャレンジの重要性が増してきました。成果がでるのに何年もかかる仕事や、成果が出るか分からない仕事も、既存の評価項目では、評価することができません。
ノーレイティング(人事考課の廃止)と、賃金の決定(その1)
(1)一つは、マネージャーに予算を渡して、マネージャーが部下の賃金を決定するという方法です。
(2)経営者はマネージャーとの間で、組織の目標とする成果と、そのためのコスト(人件費)が話し合われ、計画が作られます。
マネージャーは、その計画に基づいて人事権を活用して、部下をマネージメントします。マネージャーが部下の給与を決め、かつ、解雇等の権限を持つわけです。
そして、マネージャーも経営者から、約束した計画を達成できたか、査定されます。
(3)このような方法で、経営者が作成したビジョン・事業計画を社員の行動指針に反映させ、かつ、スピーディーな意思決定が行うことができます。
ノーレイティング (人事考課の廃止) と、賃金の決定(その2)
(1)職種ごとに、市場価格を参考に給与額を決めてしまいます。
(2)上記の金額を前提に、1年目は〇円、2年目は〇円と5年目までは、熟練度によってスキルアップすることを前提に賃金を決めて機械的に適用する。(もちろん、ローパフォマーの場合には昇給のストップをする。)
(3)つまり、給与額は 市場原理にて決まります。その後の社員の成績については、その仕事を遂行するのに問題があるかどうかだけを審査するという考え方です。
ノーレイティング (人事考課の廃止)と、ローパフォーマー対策
(1)ノンレーティング(人事考課の廃止)だとしても、ローパフォーマーは一見して分かります。
(2)ローパフォーマーの支援や、最終的な処分については、人事考課と別に考えることになります。
ノーレイティング (人事考課の廃止)と、ハイパフォマーの査定
(1)ハイパフォマーの評価は、市場価格で最高水準の給与を支払いばよく、市場価格という点で概略の金額を決めます。
(2)この方法であれば、細かい査定をしなくても、市場価格を根拠に給与額を決定できます。
参考
パティ・マッコード (著),、櫻井祐子 (訳)「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」182頁以下