【給与の決定】日本式のノーレイティングと職務記述書
2025/02/05 更新
ノーレイティング(人事考課の廃止)
(1)アメリカでは、人事考課をしない(少なくとも、給与と評価を区別する)という動きがあります。
(2)ノーレイティンは、「細かい給与の基準を決めて、それにあてはめて社員の給与を決める。」のではなく、「社員(の仕事ぶり)からその社員の給与額を決める。その人の仕事を定義し、その仕事についていくら給与を支払うべきか客観的な基準を作る。」という考え方です。
(3)ノーレイティングを、日本で実際に行われているやり方を見てみましょう。
部門と人件費を話し合う
(1)経営者はマネージャーとの間で、組織の目標とする成果と、部門ごとのコスト(人件費)が話し合われ、予算と計画が決められます。
(2)一つの部門は、社員数は30名程度までとします。
(3)マネジャーは、その予算内で社員の給与を決めることになります。
支店等がある会社では、その支店での人件費が決まるイメージです。
マネージャー会議
(1)評価者数名で、「●●さんは、現在、●●という仕事をしている。例えば、●●のときには●●という貢献をしてくれた。●●の部分が本人の課題である。●●が克服できれば、次のポストとして、●●というポストについてもらいたい。」という形で評価をして、評価をすり合わせます。(熊谷昭彦「GE変化の経営」121頁、122頁)
(2)従業員一人ひとりに。仕事内容と、課題や、ざっくりとした評価を記載します。
従業員名 | 業種 | 仕事内容 | 必要なスキル | 課題 | 次のポスト | 査定 評価 |
山田花子 | 経理事務 | ◯◯◯◯ | 簿記の知識 | ◯◯してほしい。 | 経理部長 | 社員 A |
吉田安夫 | 社員 B | |||||
西田哲夫 | 専門職 B |
(2)社員ごとの評価を評価者とともに記載し、調整後の評価を記載します。プロジェクター等を使ってエクセルで、移動させて、評価を決めていまいます。
評価 | 評価者(岡村部長) | 評価者(清水部長) | 調整後の評価 |
A | 山田花子 | 吉田安夫 西田哲夫 | 山田花子 |
B | 吉田安夫 | ||
C | 西田哲夫 |
①職務記述書
1 職務記述書
(1)職務記述書は、仕事の内容とこれを遂行するためのスキルを記載する書面です。
(2)職務記述書は、経営戦略上、必要とされる仕事の内容を明確化する。その仕事をこなすために必要なスキルを明確化するために記載します。
2 職務記述書の問題点
(1)職務記述書については、標準的な記載が多く、実態を反省していないことが多い。
(2)内定希望者が職務内容を知ることも、採用担当者がどのような基準で社員を採用するかも不明確となっていました。
(3)実際には理想とする社員や、標準的な社員の仕事をヒアリングして再度、これを見直すことが必要です。
(4)給与決定(の公平性)のためにも、一人ひとりの社員の仕事内容の記載とスキルを書き出してみましょう。
3 職務記述書の活用
(1)職務記述書を公開しましょう。
(2)職務記述書を基準に採用を行いましょう。
(3)職務記述書を基準に社員教育をしましょう。
(4)どのような基準で人事評価をしているのか、社員に対し開示し、人事評価の透明性を高めまあす。
賃金表
(1)このやり方の場合には、職種ごとの賃金表をまでは作成は不要です。
(2)もっとも下記のような簡単な賃金表があったほうがよいでしょう。
期限付きの役職制度
(1)基本給と役職給に分けて賃金を設計します。
(2)職務を1年間の有効期限を決めて設定します。
(3)毎年、仕事の出来について査定して、職務給を査定します。
A3一枚の賃金制度
(1)会社の賃金についての考え方と、職務記述と、賃金表についてA3一枚でまとめましょう。
(2)これを従業員に配って説明をしましょう。