【アジャイル】自律型組織(アジャイル)
2024/01/10 更新
リレー方式
(1)リレー方式では、個々の業務に特化した個々のグループが仕事を終えて、次のグループに仕事を移します。
計画 → 商品設計 → 開発 → マーケティングへと仕事を任せていくことになります。
(2)分業の結果として、社員(グループ)のノウハウは個々の業務に特化することになります。既存商品の改善の範囲で、高品質やコスト削減には向いています。
(3)大幅な変更が必要な場合には、計画段階に戻って訂正する必要があり、時間のロスや、商品の大量破棄もありえます。また、市場での意見を商品(開発の計画)に反映させるにも、時間がかかります。
アジャイル方式
(1)アジャイル方式では、各部門から選ばれたメンバーが、最初から最後まで一つの商品を作成します。
(2)メリットデメリットを評価する十分なデータが集まらなくても、やってみる。
完璧な計画は目指さない。試作品を早々に作って、お客様の意見を聞きながら、計画 の見直し、商品設計のやり直しを進めていきます。
(3)上が決めて現場が動くのではなく、現場の意見が重視される体制(会社の支援)が必要になります。
(4)アジャイル方式では試行錯誤の部分があり無駄も多いです。チームメンバーには、負荷がかかります。月60時間超の残業が発生することもあります。他社が関与するような超巨大なプロジェクトチームの場合にも調整が難しくアジャイル方式は不向きです。
アジャイル方式を支える会社組織
1 挑戦的かつ具体的な目標
(1)経営陣が、挑戦的かつ具体的な目標を設定することが必要です。
(2)経営陣は、挑戦的な目標や大まかな戦略を示しますが、その具体的な方法はプロジェクトチームに任せます。
(3)例えば、「2年以内に、高級コピー機の同等の性能を持つ新機種を半分のコストで開発せよ。」「小型かつ、軽量で、使い方は簡単で、一眼レフカメラより30%安い製品を開発せよ。」等の目標設定がありえます。
2 経営陣による支援
(1)経営陣は、プロジェクトチームを支援しますが、細かい関与しません。経営陣はベンチャーキャピタルと同じ立ち位置となります。プロジェクトチームから「経営陣の助けを借りたい。」と言われれば、必要な支援を行います。
(2)経営陣はプロジェクトチームの要請に従って、必要な予算(資金)を確保します。経営陣が他の担当部署に、プロジェクトへの協力を要請するなど、知識や、必要な人材の手配も手伝います。サプライヤー(取引先)への協力を手伝ったりもします。既存事業の会社資産、組織能力だけでは、リソースが足りない場合には積極的にM&Aも行います。
3 プロジェクトの自主性の尊重と、メンバーの管理
(1)経営陣は、プロジェクトチームの自主性を尊重しつつ、以下の限りでチームを管理します。
(2)経営陣は、プロジェクトチームにふさわしい人材を選びます。ふさわしい人材とは以下の人材です。
①人材は、さまざまな各部門のメンバーから選びます。
②失敗を恐れずに、挑戦できる人材
③自分の専門分野だけでなく、他の分野も勉強する人材
③他のメンバーを助け、チームに貢献することができる人材
(3)挑戦や、チームへの貢献を評価する人事制度・報酬の仕組みを用意します。
4 アジャイルでの仕事の進め方
(1)さまざまな各部門のメンバーを一つの部屋で一つのプロジェクトを任せます。
(2)完璧な計画を目指さずに、試作品を早々に作って、企画、設計、製造、販売へと進めて行くように依頼します。試作品についてのお客様の意見を聞きながら、企画、設計、製造、販売進めるように依頼します。
(3)異なった専門分野のメンバーが一緒の空間で、一つの目標に向かって仕事をすれば、自然にチーム全体のために仕事をする姿勢が生まれ、自分の専門を超えた学びも生まれてきます。
(4)会社は、研修その他の方法で、社員が自分の専門以外の知識を勉強したり、社外での人脈・知識を習得したりすることを支援する制度を作ってこれを後押しします。
5 アジャイル方式のノウハウの蓄積
(1)アジャイル方式で、プロジェクトを成功させたノウハウを会社全体で共有する仕組みが必要になります。
(2)プロジェクトを解散させて、キーパーソンを次のプロジェクトに参加させて、ノウハウを伝達させる等の方法がありえます。。
(3)自社のプロジェクトの成功事例を社員全員に対し共有するための報告会も必要です。
アジャイル方式と、組織開発
(1)各部門から選ばれたメンバーが、新しい取り組みをすること自体が、組織に変化をもたらすことも期待できます(組織開発)。
(2)このようなプロジェクトの経験を積んだ人材を正当に評価し、管理職に抜擢することで会社の社風を変えることも可能です。
参考
ハーバードビジネスレビュー2023年2月号122頁以下