【ジョブ型雇用】ジョブ型雇用とレイオフ(解雇)
2023/08/07 更新
レイオフ(解雇)
(1)欧米では、会社の経営戦略を理由として解雇が自由に行えることが前提となっています。
(2)会社は、能力不足だと考えれば解雇できます。逆に、従業員も、会社から正当な評価をされなければ転職してスキルアップを目指します。
欧米での意思決定
(1)ジョブ型雇用では、マネージャーに人事権が譲渡されます。経営者はマネージャーとの間で、組織の目標とする成果と、そのためのコスト(人件費)が話し合われ、計画が作られます。
マネージャーは、その計画に基づいて人事権を活用して、部下をマネージメントします。マネージャーが部下の給与を決め、かつ、解雇等の権限を持つわけです。
そして、マネージャーも経営者から、約束した計画を達成できたか、査定されます。
(2)ジョブ型雇用では、このような方法で、経営者が作成したビジョン・事業計画を社員の行動指針に反映させ、かつ、スピーディーな意思決定が行われています。
参考
マーサ―ジャパン(編)「ジョブ型雇用はやわかり」73頁以下
日本企業の意思決定スピードが遅いこと
(1)日本の場合には、社員は自分を評価する上司の顔色ばかりを見ており、経営者の意思決定を反映させるには、役員層、課長層と各層との対話を通じてコンセンサスをとっていくことが必要になり、非常に意思決定が遅いと指摘されています。
(2)逆に、日本企業にはコンセンサスを得られれば一致団結して取り組むことは得意であり、きめ細やかなサービスや、品質の向上、コスト削減等の一つのことの精度を上げていくような業務は得意にしてきました。
参考
加藤雅則 「組織は変われるか―経営トップから始まる「組織開発」」48頁以下
マーサ―ジャパン(編)「ジョブ型雇用はやわかり」104頁以下
リストラと、ぶら下がり人材
(1)レイオフ(解雇)が認められていれば、必要なときに必要な分だけの人材を確保でき、逆に、不要となれば人件費の圧縮につながりました。
(2)日本では年功序列の賃金・ポストが保障されており、チャレンジをしないぶら下がり人材の問題もあります。レイオフが認められればこれらも改善するという指摘もあります。
(3)しかし、日本には解雇規制があり、簡単には社員を解雇できません。これらは真似できない制度といえます。
参考
マーサ―ジャパン(編)「ジョブ型雇用はやわかり」105頁以下
日本とジョブ型雇用
(1)レイオフ(解雇)は、ジョブ型雇用の本質ではありません。
(2)レイオフ(解雇)がないから、「日本の社員はがんばらない。」「国際競争で勝てない。」というのは誤解です。
(3)意思決定のスピードアップや、不適切な社員の排除については、レイオフ(解雇)以外の方法を検討することになります。