Q 債権者から通知書や、訴状が届きました。消滅時効についてはどのようにチェックすればよいですか。
2025/08/27 更新
消滅時効
(1)消滅時効は、5年間、請求しないとその請求が消滅する制度です。
(2)債権者から通知書が届いたり、訴状が届けば、まず、時効を検討します。
消滅時効の「時効期間」
(1)債権の種類によって、時効期間が違います。
(2)ここでは、インターネットで、「飲食代金 時効期間」等で検索をして確かめましょう。
通知書が届いたとき
民法150条の催告
(1)内容証明等で請求することは民法150条の「催告」にあたります。その請求から6ヶ月以内に訴状が裁判所に提出されたときは、時効は完成猶予となります。(民法150条)。
(2)時効の完成猶予の効果は、内容証明等の請求が相手方に届いたときである。
時効についての検討
(1)通知書が債務者に届いた日から、計算して時効期間が経過していないかチェックします。
(2)時効期間を経過していれば、「時用の援用する。」旨の通知書を送ります。
訴状が届いたとき
1 内容証明送付後の訴状の提出日
(1)内容証明が債務者に届いた日から、6ヶ月以内に訴状が裁判所に到達しているかチェックしましょう。
(2)内容証明等で請求することは民法150条の「催告」です。その請求から6ヶ月以内に訴状が裁判所に提出されたときは、時効は完成猶予となります(民法150条)。
逆に言えば、内容証明が債務者に到達した日から、6ヶ月以内に訴状が裁判所に到達しいなければ、その内容証明は(時効を考えるうえでは)無効となります。この場合には、その内容証明がないものとして、①その次に送られてきた内容証明で時効を検討するのか、もしくは、②訴状が裁判所に提出された日で時効を計算することになります。
2 内容証明の到達日
(1)内容証明(民法の催告)にて完成猶予の効果を検討するときには、内容証明等の請求が相手方に届いたときが基準日となります。
(2)内容証明が債務者に届いた日から、6ヶ月以内に訴状が裁判所に到達している場合には、内容証明(通知書)が債務者に届いた日から計算して、時効期間が経過していないかチェックします。
3 訴訟提起
(1)訴訟提起は、民法147条1項1号の「裁判上の請求」である。訴状が裁判所に届いた時点で、時効は完成猶予となります。(民法150条)。
(2)なお、時効の完成猶予の効果は、訴状が被告に届いたときではなく、訴状が裁判所に届いた時点に生じます。
(3)事前に通知書等の送付がない場合や、「内容証明が債務者に届いた日から、6ヶ月以内に訴状が裁判所に到達していない」場合には、訴状が裁判所に届いた日から計算して、時効期間が経過していないかチェックします。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」313頁