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予防法務

フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)

2024/08/27 更新

フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)

フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)が成立しました。

令和6年11月までに施行される予定です。

フリーランス新法とはなんですか?

今までとどのようなところが変わるのでしょうか?

フリーランスも下請法(下請代金支払遅延等防止法)による保護を受けることができます。

しかし、下請法の適用を受けるには、親事業者の資本金が1000万円以上である等の要件が必要でした。

フリーランス新法では、下請法の適用がないケースでも、フリーランスを保護するものになります(ビジネスガイド2023年11月号74頁以下)。

①フリーランス新法が適用される当事者

保護対象者 特定受託事業者

 以下のいずれかに該当する特定受託事業者はフリーランス新法の保護を受けます。

(ア)個人であって、従業員を雇用しない者
(イ)法人ではあるが、代表者以外に、役員も従業員もいない法人

義務者 業務委託事業者

 特定受託事業者に業務委託する発注者を業務委託事業者という。

義務者 特定業務委託事業者

 特定受託事業者に業務委託するものであって、以下のいずれかに該当する発注者を特定業務委託事業者という。

(ア)個人であるが、従業員を雇用する者
(イ)法人であって、二人以上の役員がいる。もしくは、従業員を雇用する法人

②フリーランス新法が適用される取引

フリーランス新法は全ての取引に適用されるわけではありません。

フリーランス新法は、(ア)製造委託、(イ)情報成果物作成委託、(ウ)役務提供委託の4類型の委託取引についてのみ適用されます。

発注書の交付

①②の要件を満たす場合、業務委託事業者は、特定受託事業者に対し発注書(業務内容、納期、金額、支払い時期)を交付する義務があります。

注意点

業務委託事業者は、発注者もフリーランスである場合です。

業務委託事業者については、契約の明示以外の義務はかされていません(ビジネスガイド2023年7月号40頁以下)。

禁止行為の禁止

 ①②の要件を満たす場合、特定業務委託事業者は、特定受託事業者に対し以下の行為をしてはなりません。

(1)注文した商品の受領を拒否すること

(2)商品、サービスの受領後60日以内に代金を支払わないこと

(3)代金を減額すること

(3)返品を行うこと

(4)市場価格と比べて著しく低い金額を報酬金額とすること。

(5)商品、サービスの購入を強制すること

(6)金銭、サービスその他経済上の利益を提供させること。

(7)契約内容の変更をしたり、仕事のやり直しをさせたりすること。

就業環境の整備

①②の要件を満たす場合、特定受託事業者を募集するために、広告等を出す場合には、虚偽の表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならない。

①②の要件を満たす場合、継続的業務委託については、特定受託事業者が育児介護等と両立して業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならない。

①②の要件を満たす場合、特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならない。

①②の要件を満たす場合、継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに特定受託事業者に対し予告しなければならない。

違反した場合のリスク

違反した場合はどうなりますか…?

違反している疑いがある場合には、立ち入り調査等がなされるリスクがあります。

違反した場合には、社名等が公表されるリスクや、罰金等が科されるリスクがあります。

厚生労働省のHP

厚生労働省のHPには、フリーランス新法について詳細な情報が記載されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html

ガイドライン

事業者とフリーランスとの取引について、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」があります。

実際の取引では、フリーランス新法だけでなく、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令の適用等も考えなければなりません。

「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」はこれらの点からの注意点(禁止事項が)記載されている点で有益です。

安全配慮義務

フリーランス新法では、安全配慮義務は規定されませんでした。

しかし、判例は、安全配慮義務は、労働者と同じ場所で働く労働者以外の者も保護する趣旨であるとされています(最判令和3年5月17日判決)。フリーランスには、労働者に準じた保護が与えられるべきであり、安全配慮義務が適用される可能性があります。

参考

ビジネスガイド2023年7月号40頁以下

自由と正義2024年1月号48頁以下

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