下請法(下請代金支払遅延等防止法)
2024/08/27 更新
下請法
下請法とはどんな法律ですか?
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、一定規模を持つ親事業者が、一定規模以下の下請事業者に対し、優越的地位を濫用することを禁止する法律です。
下請事業者を保護する法律としては、下請法(下請代金支払遅延等防止法)のほかに、物流特殊指定(特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法)や建設業法などがあります。
フリーランスを保護する法律としては、フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)もチェックが必要です。
フリーランス新法(特定受託事業者に関わる取引の適正化等に関する法律)
①下請法が適用される当事者
3億円基準
親会社と、下請事業者が以下の基準のときには、下請法が適用されます。
親事業者 | 下請事業者 |
資本金3億円超の法人事業 | 資本金3億円以下の法人事業者 個人事業主 |
資本金1000万円超、3億円以内の法人事業者 | 資本金1000万円以下の法人事業者 個人事業主 |
資本金100万円以下の法人事業者 | 下請法は不適用 |
5000万円基準
サービス業(情報成果物作成委託、役務提供型委託)の場合には、製造業とは異なり資本金の額が低く、下請事業者が以下の基準のときには、下請法が適用されます。
情報成果物作成委託、役務提供型委託のうち、運送、倉庫保管、情報処理、ブログラム作成については、原則通り、3億円基準で判断されます。
親事業者 | 下請事業者 |
資本金5000円超の法人事業者 | 資本金5000万円以下の法人事業者 個人事業主 |
資本金1000万円超、5000万円以内の法人事業者 | 資本金1000万円以下の法人事業者 個人事業主 |
資本金100万円以下の法人事業者 | 下請法は不適用 |
②下請法が適用される取引
下請法は全ての取引に適用されるわけではありません。(ア)製造委託、(イ)修理委託、(ウ)情報成果物作成委託、(エ)役務提供委託の4類型の委託取引についてのみ適用されます。
(ア)製造、(イ)修理、(ウ)情報成果物(デザイン、プログラム)の作成、(エ)役務提供(運送、ビルメンテナンス、その他のサービス)の取引には、下請法が適用されます。
建物工事の下請
建物工事の下請は、建設業法の問題となります(下請法は適用されません)。
発注書の交付
①②の要件を満たす場合、親事業者は、下請事業者に対し発注書(業務内容、納期、金額、支払い時期)を交付する義務があります。
禁止行為の禁止
①②の要件を満たす場合、親事業者は、下請事業者に対し以下の行為をしてはなりません。
(1)注文した商品を拒否すること
(2)商品、サービスの受領後60日以内に代金を支払わないこと
(3)代金を減額すること
(4)正当な理由なく、返品を行うこと
(5)市場価格と比べて著しく低い金額を下請代金とすること。
(6)商品、サービスの購入を強制すること
(7)下請事業者が、親事業者の不公平な行為を公正取引委員会や、中小企業庁に知らせたことで、下請会社に対し不利益な扱いをすること。
(8)原材料を提供した場合に、下請代金の支払日より早く請求したり、相殺で回収したりすること。
(9)一般の金融機関で割引できない手形で、代金を支払うこと。
(10)下請事業者に対し金銭、サービスの提供をさせること。
(11)契約内容の変更をしたり、仕事のやり直しをさせたりすること。
違反した場合のリスク
- 違反している疑いがある場合には、立ち入り調査等がなされるリスクがあります。
- 違反した場合には、社名等が公表されるリスクがあります。
- 違反した場合には、罰金等が科されるリスクがあります。
参考HP