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予防法務

判例(下請法の「買いたたき」を理由とする不法行為責任は否定されたが、商法512条による相当報酬との差額の請求が認められた。)

2025/06/29 更新

下請法と「買いたたき」

(1)下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、市場価格と比べて著しく低い金額を下請代金とすること(買いたたき)を禁じています。

(2)買いたたき行為が違法(不法行為に基づく損害賠償義務)が発生するには、①適正な価格を認定し、②その価格と、実際の価格が著しく乖離し、③その乖離が、買い手と売り手の実際の交渉を踏まえてその乖離が正当化できないことが必要となります。

判例(令和6年2月15日東京地裁)

1 問題

(1)Yは、Xに精密機械を発注した。

(2)図面等が不足するなか、準備不足のまま、Xがとりあえずの見積書を出した。

(3)Xが精密機械を完成させて、Yに納品したが、もともとの見積書の金額では赤字になるとして、Yに対し協議を求めた。

(4)Yは、不足額の金額の一部を支払ったが、最終的な決着に至らなかった。

2 買いたたき行為と不法行為

(1)買いたたき行為が違法(不法行為に基づく損害賠償義務)が発生するには、①適正な価格を認定し、②その価格と、実際の価格が著しく乖離し、③その乖離が、買い手と売り手の実際の交渉を踏まえてその乖離が正当化できないことが必要となる。

(2)実際の原価と利益率を計算して、適正な価格を算出した。

 原告の提出してきた資料を精査して原価を算出し、双方の意見を聞いて利益率を10%として、適正な価格を算出した。

(3)そして、②その価格と、実際の価格が著しく乖離しているとはいえない、として不法行為の成立を否定した。

3 相当対価

(1)Xは、商法512条に基づいて相当対価の請求をした。

  商法512条は、価格交渉を前提とする取引について、相当対価の請求を認めている。

(2)判決では、相当対価と支払額の差額について、Yに対し支払いを認めた。

令和6年2月15日東京地裁

判例タイムズ1532号183頁

 

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