退任するCEOがするべきことと、取締役の支援
2024/09/16 更新
退任するCEO
退任するCEOは、退任するにあたって、以下のことをしなければなりません。
次のCEOを選ぶ仕事
(1)退任するCEOは、CEOを退任するにあたって、アイデンティティーを奪われるかのような喪失感を経験します。退任するCEOが退任を留意し、後継者の実力を過小評価させるように働きかけて社内を混乱させることもあります。
(2)不適切なCEOを就任させれば、企業の業績は大きく後退します。次のCEOを選ぶ仕事は、CEOにとって、一番大切な仕事です。
経営者の交代(承継)計画をスタートさせる
(1)実際には、退任するCEOが自ら、体力的な限界を理由に退任を口にするまで、経営者の交代(承継)計画がスタートしないこともあります。
(2)まずは、数年後の経営者の交代について、計画を立てて、経営者の交代(承継)計画がをスタートさせることが必要です。
(3)社内にて、「明日、CEOを選ぶとすれば候補者は誰か。」「3年後なら、どうなるか。」という候補者のリストを作り始めることが必要です。
(4)CEOの年齢と健康状態は簡単に把握できる問題です。したがって、退任するCEOだけでなく、取締役会も、優先度の高い課題として、経営者の交代を議題とすべきです。
退任するCEOが関与する
(1) CEOが不在となれば、企業は迷走し、大きな損失を被ります。次のCEOを選ぶことは、CEOの仕事のなかでも優先度の高い仕事です。
(2) 確かに、退任するCEOは、最終的には、「経営に関与しないこと(口を出さないこと)」が大切とです。しかし、新CEOの人物像の明確化、候補者探し、候補者との面談等は、退任するCEOのもっとも大切な仕事になります。
(3)退任するCEOが関与したほうが、より適切な新CEOを選ぶことができます。
退任するCEOの心情に配慮する
(1)退任するCEOは、「退任をしたいと申し出たときに、取締役が退任の意向を覆そうとして対立関係となってしまった。」「退任したいとの本音を隠して仕事することは嘘をつくような気持ちになる。」「権限を移譲することで、人心が新CEOに移り自分が脇に追いやられてしまうように感じる。」ということを経験します。
(2)取締役会は、退任するCEOとコミュニケーションをとって、その心情に配慮する必要があります。
(3)退任するCEOと食事するなどインフォーマルな関係を強化すべきです。
退任後について計画する。
(1)取締役会は、退任するCEOが退任後も、会社に関わるべきか、関わるべきだとしてどのようの関わるべきかを決めなければなりません。
(2)新CEOが当面、小幅の変更しか計画していないときには、退任するCEOが相談役として残る方が現実的です。
(2)退任するCEOの精神的な安定を考えても、専門家のコーチングを受けて、退任のキャリアプランを立てることは有益です。
退任のイベントを開く
(1)退任後のCEOのところに、取引先が電話してきて、退任後のCEOが従前と同じように業務を続けてしまう可能性があります。
(2)社内的にも、社外的にも、区切りを付けるべく退任するCEOの業績を称える退任のイベンを開くことが効果的です。
参考
ハーバードビジネスレビュー2024年10月号58頁