Q 企業はAIの活用方法を積極的に探すべきか。もしくは、他の企業の動向をみて動くべきか。
2025/11/03 更新
企業がAIを活用して、競争優位性を獲得することは難しい。
(1)一般論として、AIを積極的に取り入れることで、企業が競争優位性を確保することは難しい、と言われています。
(2)一番の理由は、一般の企業が独自のAIを開発することは難しく、勝負どころは「AIの活用の仕方」になることと、AIは簡単に利用できるために、他社がそのやり方を真似すること容易であるからです。
(3)AIの活用については、上手くいく分野と上手くいかない分野があると思われます。他社の失敗等を見てから、ゆっくり活用する方向でも十分だという戦略的な見解もありめます。
AIを活用と競争優位性を保つ方法
(1)AIの活用にて、競争優位性を保つ方法としては、以下の3つが考えられます。
①自社で特化型のAIを開発する。
②他社が持っていないデータを活用する。
③自社でAI以外の強みを持ち、その強化としてAIを活用する。
(2)以下、それぞれが現実的か考えてみましょう。
①自社でAIを開発する。
(1)自社でAIの開発を行う場合には、グーグル等の汎用型AIの開発を進める大手IT企業と比べて、開発力で勝つことは難しいという問題があります。
(2)最初に特化型のAIの開発に成功して利益をあげたとしても、他社が大手IT企業と提携して開発を進めた場合に、競争開発で勝つのは難しい、と予想されます。
(3)通常の企業戦略では、ニッチ分野を狙って資源を集中させて勝ちを狙います。AI開発でも、画像処理や音声処理等の得意分野を集中させて勝ち目があるのかという問題になります。
一般企業では、現実的には難しいでしょう。
②他社が持っていないデータを活用する。
(1)AIは大量のデータを処理することで働きます。
(2)したがって、他社が持っていないデータを持っている場合には、そのデータを持っていることそのものが、競争優位性になりえます。
(3)しかし、データでの優位性で、他社との差別化がいつまで保たれるかは不明確です。
(4) 例えば、保有しているデータ量が違っても、出すべき結果は同じかもしれません。AI(ビックデータ)により出される結論は、集合知での多数派の意見となるために、尖った結論は出せません。
例えば、最初はデータ量の違いによって精度に差があるとしても、その結果についてはどちらが良い、というものではありません。少ないデータでの結論の方が、意外性があり市場で受け入れられる可能性もあります。
(5)さらに、最初はデータが少なくても、市場でのフィードバックを重ねる結果、AIの精度があがっていきますので、結局、同様の結論を出すことが考えられます。
③AI以外の強みを持ち、その強化としてAIを活用する
(1)AIを活用して競争優位性を保つ方法としては、やはり「自社でAI以外の強みを持つ。」のが無難でしょう。
(2)そもそも、AI(ビックデータ)により出される結論は、集合知での多数派の意見となるために、尖った結論は出せません。
(3)データが同じであれば、どのAIを使っても同様の結果となる可能性があります。
(4)例えば、ある会社が、独自の在庫管理や、配送業務のシステムに強みを持っているとします。。これらの強みの強化にAIを活用することが考えられます。
(5)したがって、AIを活用と競争優位性を保つのであれば、「AI以外の強みを持ち、その強化としてAIを活用する」ことが王道だといえます。
参考
ハーバードビジネスレビュー2024年12月12頁以下






