Q 公益通報者はどのような保護を受けることができるのですか。
2025/03/09 更新
公益通報者が保護される要件
公益通報者保護法は、①従業員等が、②の通報機関に、③不正の目的なく、正当な理由等がある場合には、会社は同人に対して不利益をしてはならないと規定されています。
①従業員等
労働者、派遣労働者、退職者、役員が対象です。
③の正当理由
(1)③の正当理由は、②の通報先によって異なります。
(2)通報先が事業者(内部通等)であれば、③不正があると思う事情があれば足ります。
通報先が行政機関であれば、③「不正があると思う相当の理由があること(目撃したもしくは証拠があること)」又は「不正があると思う事情と、通報者の名前を記載した書面を提出すること」が必要です。
通報先が報道機関であれば、③「不正があると思う相当の理由があること(目撃したもしくは証拠があること)」に加えて、「生命や身体等への重大な損害が生じる事情」必要です。があります。
②通報先 | ②の正当理由等 |
事業者への通報 | 不正があると思う事情があること |
行政機関への通報 | 不正があると思う相当の理由があること(目撃したもしくは証拠があること) 又は、 不正があると思う事情があることと、通報者の名前を記載した書面を提出するこ |
報道機関への通報 | 不正があると思う相当の理由があること(目撃したもしくは証拠があること) に加えて、 生命や身体等への重大な損害が生じる事情 |
保護の内容
要件を満たす通報者に対する、解雇は無効となります(公益通報者保護法3条)。降格・減給は無効となります(公益通報者保護法5条)。
要件を満たす通報者が通報したことで民事的な責任を負いません(公益通報者保護法7条)。
公益通報者保護法2条 定義 1項 この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該役務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第2号及び第6条第2号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第3号及び第6条第3号において同じ。)に通報することをいう。 一 労働者(省略) 二 派遣労働者(省略) (省略) 四 役員 (省略) (以下省略) 公益通報者保護法第3条 解雇の無効 労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第1項第1号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するものに限る。第九条において同じ。)が行った解雇は、無効とする。 一 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該役務提供先等に対する公益通報 二 通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合又は通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面(省略)を提出する場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報 イ 公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所 ロ 当該通報対象事実の内容 ハ 当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由 ニ 当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由 三 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合 その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報 イ 前2号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合 ロ 第1号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合 ハ 第一号に定める公益通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合 ニ 役務提供先から前2号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合 ホ 書面により第1号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合 ヘ 個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。以下このヘにおいて同じ。)の財産に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。第6条第2号ロ及び第3号ロにおいて同じ。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合 公益通報者保護法第4条 労働者派遣契約の解除の無効 第1項第2号に定める事業者(当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けるものに限る。以下この条及び次条第二項において同じ。)の指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が前条各号に定める公益通報をしたことを理由として第2条第1項第2号に定める事業者が行った労働者派遣契約(労働者派遣法第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約をいう。)の解除は、無効とする。 公益通報者保護法第5条 不利益取扱いの禁止 1項 第3条に規定するもののほか、第2条第1項第1号に定める事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。 2項 前条に規定するもののほか、第2条第1項第2号に定める事業者は、その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が第3条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをしてはならない。 3項 第2条第1項第4号に定める事業者(同号イに掲げる事業者に限る。次条及び第8条第4項において同じ。)は、その職務を行わせ、又は行わせていた公益通報者が次条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、報酬の減額その他不利益な取扱い(解任を除く。)をしてはならない。 公益通報者保護法第7条 損害賠償の制限 第2条第1項各号に定める事業者は、第3条各号及び前条各号に定める公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。 |