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予防法務

Q 短期売買差益返還請求とは何か。

2026/01/04 更新

短期売買差益返還請求 

1 短期売買差益返還請求の要件

(1)上場会社等の役員または主要株主が上場会社等の株式等について、 自己の計算においてそれにかかる買付け等をした後6ヶ月以内に売付け等をし、 または売付け等をした後6ヶ月以内に 買付け等をして利益を上げた場合においては、 当該上場会社等はその利益を上場会社等に支払うように請求することができると定められている(金融商品取引法164条1項

(2)ここに主要株主とは、原則として、 自己または他人 (仮設人を 含む)の名義をもって当該上場会社等の総株主等の議決権の 10%以上の 議決権を保有している者をいいます。

2  短期売買差益返還請求の趣旨 

(2)役員または主要株主が6ヶ月の短期売買をしたとしても、それが直ちに インサイダー取引に該当するわけではない。 しかし、金融商品取引法164条1項は、その行為がインサイダー取引に該当するか否かにかかわらず、上場会社等の役員または主要株主がその職務または地位に より取得した秘密を不当に利用することを防止するため、短期売買による 利益の返還請求権を法定しました。

3 類型的適用外取引

(1)一定の取引については、類型的適用外取引として、短期売買差益返還請求を免れるとされている。

 その一例として、「現引き(げんびき)」があります。「現引き」とは、信用取引で株を買った後、決済期限が来る前に証券会社から借りたお金(融資)を現金で返済し、代わりに現物株式を引き取る(保有する)ことです。

(2)信用取引では、借金をして株を購入するイメージです。「現引き」では、借金を返して、確定的に株を取得する取引であり、投資効果(権利関係)が変わらないからだと説明されます。

金融商品取引法164条 上場会社等の役員等の短期売買利益の返還
1項 上場会社等の役員又は主要株主がその職務又は地位により取得した秘密を不当に利用することを防止するため、その者が当該上場会社等の特定有価証券等について、自己の計算においてそれに係る買付け等をした後六月以内に売付け等をし、又は売付け等をした後六月以内に買付け等をして利益を得た場合においては、当該上場会社等は、その利益を上場会社等に提供すべきことを請求することができる。
2項 当該上場会社等の株主(保険契約者である社員、出資者又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第16項に規定する投資主をいい、同条第二十五項に規定する外国投資法人の社員を含む。)を含む。以下この項及び第八項において同じ。)が上場会社等に対し前項の規定による請求を行うべき旨を要求した日の後六十日以内に上場会社等が同項の規定による請求を行わない場合においては、当該株主は、上場会社等に代位して、その請求を行うことができる。
3項 前2項の規定により上場会社等の役員又は主要株主に対して請求する権利は、利益の取得があつた日から二年間行わないときは、消滅する。
(以下、省略)

東京高判令和6年7月31日 判例タイムズ1538号104頁

1 事案

(1)Yは経営権の取得を目的として信用取引でX社の株を購入していた。東京証券取引所は信用取引の停止措置をした。このために、「現引き」(信用取引で株を買った後、決済期限が来る前に証券会社から借りたお金(融資)を現金で返済し、代わりに現物株式を引き取る(保有する))ことが不可能となりました。(信用取引の停止措置があると、必要な株式を買い集めることが難しくなるからです。)
(2)このため、Yは、信用取引で取得した買い建玉(信用取引で買い集めた株式)を売却して、同額を現金取引に現金取引にて、買い直しました。いわゆるクロス取引です。
(3)X社は、Yに対し、短期売買差益返還請求をした。
(4)Y社は、クロス取引にあたるので、「現引き」と同じであるから、類型的適用外取引として、短期売買差益返還請求を免れると主張した。

2 判決
(1)ある取引について、法令その他の定めるところに従 って行うことが法的に義務付けられている場合については、取引主体において投資判断を行う余地がなく 類型的にみて秘密を不当に利用するものではなく、類型的適用除外取引に該当する。
(2) Yについては、 株式の現物買いをせず信用取引により信用買いをすることを選択し、さらに、買い建玉の現引きが選択不可能であった特定の期間内にこれをしなかったのは、Y社の投資判断である。
 したがって、Yが、「信用取引で取得した買い建玉(信用取引で買い集めた株式)を売却した」ことで得た利益は、短期売買差益としてX社に支払う義務がある。

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