少年の身柄が拘束される場合の法的手続は、①勾留、②勾留に代わる観護措置、③観護措置に分かれます。
2024/01/04 更新
①勾留
(1)法律上は少年事件の場合「やむを得ない場合」でない(少年法48条1項、43条3項)限り勾留できないのが建前です。しかし、実務上は、「やむを得ない場合」は、非常に緩やかに解釈されて運用されていいます。
少年に対する勾留は、一般の刑事事件と同じであるから、10日間の勾留延長が可能です。
勾留の場合、勾留場所は、警察の留置施設(少年法49条3項)となることも、少年鑑別所となることもあります(少年法48条2項)。少年を成人と同じ留置施設で勾留することについては精神的に悪い影響を受けてしまうこと等弊害が懸念されています。
(2)勾留中により身柄を拘束された少年について、事件が家裁に送致された場合、裁判所が身柄を拘束する必要性があると判断されれば、③観護措置になります(少年法17条2項)。
②勾留に代わる観護措置
(1)勾留に代わる観護措置(少年法43条1項)の場合、拘束場所は少年鑑別所となります。
勾留に代わる観護措置の期間は10日間であって、延長できません(少年法44条3項)。
勾留に代わる観護措置が、家裁送致されると、少年鑑別所収容の観護措置とみなされます(少年法17条7項)。
(2)勾留に代わる観護措置により身柄を拘束された少年について、事件が家裁に送致された場合、裁判所が身柄を拘束する必要性があると判断されれば、③観護措置になります(少年法17条7条項)。
③観護措置
(1)逮捕後に、事件が家裁に送致された場合、裁判所が身柄を拘束する必要性があると判断されれば、③観護措置になることもあります。つまり、逮捕後に、①の勾留や、「②勾留に代わる保護観察」を経ずに、③観護措置になることもあります。
(2)観護措置の拘束場所は、少年鑑別所となります(少年17条1項2号)。
法律上は、観護措置の期間は2週間であり、特に必要がある場合に限って1回更新できるとされています(少年法17条3項、4項本文)。しかし、実務上は、更新されるのが通例であって、観護措置の期間は運用上4週間となっています。
(3)観護措置の満了日前に、審判の期日が指定されます。