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刑事弁護の流れ

Q 控訴審での証拠調べのポイントは何ですか?

2024/01/05 更新

事後審制

(1)控訴審は事後審です。第一審の判決の誤りの有無を判断する手続です。
(2)事後審理であることを強調すれば、新証拠の提出は認められないことになります。つまり、第一審の証拠関係に基づいて、刑事訴訟法が定めた控訴理由(第一審の誤り)の有無を審理すればよくなります。
(3)しかし、控訴裁判所は、控訴趣意書に記載された控訴理由の有無について調査する義務があります(刑事訴訟法382条)。控訴裁判所は、そのために、必要があれば事実の取り調べができます(刑事訴訟法383条)。
(4)一審で請求できなかったことにやむを得ない事由が存在する証拠について、量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合には、これを取り調べることが義務になります(刑刑事訴訟法393条1項但書)。
(5)第一審の判決後の情状については、刑事訴訟法383条2項で取り調べができることを明記しています。

刑事訴訟法393条
1項 控訴裁判所は、前条の調査をするについて必要があるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調をすることができる。但し、第382条の2の疎明があつたものについては、刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない
2項 控訴裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき取調をすることができる。
3項 前二項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
4 項第一項又は第二項の規定による取調をしたときは、検察官及び弁護人は、その結果に基いて弁論をすることができる。。
刑事訴訟法382条の2
1項 やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる
2項 第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。
3項 前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。第一項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。  

事実取調請求書

(1)第一審では、口頭でも証拠調べの請求ができました。

(2)これに対して、控訴審で証拠の取調べ(書証の取調べ・証人請求・被告人質問)をするのであれば、事実取調請求書を提出することが必要です。

(3)事実取調請求書には、第一審の問題点(控訴趣旨書の控訴理由)とのその取調べが必要な理由(関連)をしっかりと記載することが必要です。

控訴審と書証

(1)第一審では、起訴状一本主義の適用があり、裁判所に事前に証拠の写しを送ることはできません。

(2)これに対して、控訴審では、事前に裁判所と検察官に書証のコピーを提出することになります。

(3)公判期日にも、書証を持参し、採用された場合にはこれを裁判所に提出します。

(4)控訴審での証拠調べは例外的に認められているに過ぎません。したがって、検察官は刑訴法326条の不同意を主張するのが通例です。そこで、事実取調べ請求書において、弁護人は「刑訴法321条~328条のどの規定に基づいて書証を証拠請求するのか」記載しておくのがよいでしょう。

控訴審と弁号証

(1)控訴審は事後審です。控訴審で提出する弁号証は、弁1から番号を付けることになります。

(2)例えば、第一審で弁3号証までが提出されているとします。この場合に、控訴審で提出する弁号証は、弁4ではなく、弁1となります。

控訴審と証人尋問

(1)控訴審では、証人尋問はほとんど認められていません。証人尋問が認められない場合に備えて、陳述書を同時に提出するのがよいでしょう。

(2)事実取調請求書には、第一審で、証人尋問請求できなかった「やむを得ない事由」と、「刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない」ことについても記載する必要があります(刑事訴訟法393条1項但書)。

(3)第一審判決後の被告人の生活状況等、情状についての証人尋問は、第一審判決の出来事に限り、裁判所の裁量で取り調べられる(刑訴法393条2項)。

控訴審と被告人質問

(1)事実誤認を主張して、無罪を主張するのであれば、被告人質問は認められないのが一般的です。

(2)第一審判決後の反省など、情状についての被告人質問は、第一審判決の出来事に限り、裁判所の裁量で取り調べられる(刑訴法393条2項)。

控訴審の審理

(1)否認事件でも、控訴審では第一回期日に結審となり、次回期日が判決日となるのが通常です。

(2)第一回期日で結審してはならない事情があるのであれば、訴訟進行に関して裁判官に面談を求めて事前連絡する等の活動が有効です。

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