父と子の関係(嫡出推定制度と、認知制度)
2025/03/01 更新
このページを印刷母親と子の関係
母親と子は出産によって親子関係が明確になります。
しかし、父親と子の親子関係は簡単に決まりません。
嫡出推定制度

「嫡出推定制度」とはどのような制度ですか?

「嫡出推定制度」は、生まれた子の父親が誰であるかを法律上早期に確定させるための制度です。
婚姻中の妻が出産した子は、夫の子と推定されます。「夫が自分の子である」旨の出生届を市役所に出せば、その記載どおり、戸籍上は夫の子となります。その根拠は2つあります。
一つめは民法です。民法772条1項、2項によって、結婚後200日を経過した後、または婚姻解消後300日以内に生まれた場合にも、夫の子と推定されます(①法律上の推定が及ぶ子)。
二つめは判例等です。判例等により、結婚後200日以外に生まれた子であっても、「夫が自分の子である」旨の出生届を出せば、その記載どおり、戸籍上は夫の子となります(②推定の及ばない嫡出子)。
なお、民法772条3項により、婚姻解消後300日以内に生まれた場合にも、再婚した後に子どもが埋まれば、その再婚した男性の子として出生届を出すことが可能です。
父と子の親子関係を否定する場合は?
①法律上の推定が及ぶ子に
法律上の推定が及ぶ子が、父子関係を否定するためには、嫡出否認の訴えを提起しなければなりません。嫡出否認の訴えは、子が生まれてから3年以内に提起しなければならない等の制限があります。
父子の早期安定をさせるためにこれを争える期間等が制限されています。
②推定の及ばない嫡出子
推定が及ばない嫡出子が、父子関係を否定するためには、親子関係不存在の訴えを提起することになります。親子関係不存在の訴えについては、特に制限がありません。
- 民法772条
- 1項 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2項 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
3項 第一項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
4項 前三項の規定により父が定められた子について、第七百七十四条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中「直近の婚姻」とあるのは、「直近の婚姻(第七百七十四条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。
認知制度
婚姻関係外で、生まれた子を非嫡出子といいます。
母親と子は出産によって親子関係が明確になります。しかし、父親と子の親子関係が簡単に決まりません。
婚姻関係中に、生まれた子は嫡出推定等で、父子関係が決まります。これに対して、婚姻関係外で、生まれた子については認知の問題となります。
仮に、認知しされた親子関係について争う場合には、親子関係不存在の訴えを提起することになります。