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控訴審の審理

2023/10/15 更新

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当事者の名称

(1)控訴審では、裁判官は3名となります。

(2)控訴した人、つまりは、原審で敗訴した人を控訴人と呼びます。

(3)逆の立場の人を、被控訴人と呼びます。

控訴審の審理

(1)控訴審は、第一審での審理の結果を引き継ぎます。

(2)控訴すると、第一審の判決の効力が消えて、判決を出す前の段階に戻るイメージです。控訴審の裁判官がもう一度判決を書くいイメージです。

(3)第一審にて、必要な取り調べを既に行っていることが前提となります。控訴審では、追加の取調べの必要性については厳しく判断されます。

(4)書証(文書の証拠)の提出は認められますが、新たな証人申請(目撃者等の証人を呼んで話を聞く手続)はなかか認められません。

控訴審の審理の様子

主任裁判官

 「では、時間になりましたので手続きを始めます。」

主任裁判官

 「控訴人。控訴状の控訴の趣旨は〇〇という意味で良いですか。」

控訴人の弁護士

 「はい。」

主任裁判官

 「控訴人は、の控訴の趣旨は〇〇と訂正の上で、陳述。」

解説

(1)控訴状の控訴の趣旨の記載は、ややこしいです。

(2)裁判所の指導のもとに、このようにその場で訂正することがよくあります。

(3)裁判所の書類は、事実上先に提出しておきます。しかし、民事訴訟法上は、裁判期日に出頭して、「陳述します。」と口頭で述べて初めて提出したことになります。

主任裁判官

 「控訴人は、控訴状理由書を陳述ということでよいですか。」

控訴人の弁護士

 「はい。」

主任裁判官

 「控訴人は、甲19~甲20を提出。甲19~甲20号証は写しですので、本日取り調べました。」

解説

(1)証拠は、事実上先に裁判所に提出しておきます。しかし、民事訴訟法上は、裁判期日に出頭して、裁判官が「本日取り調べます。」と口頭で述べて初めて、その日に提出したことになります。

(2)原本にて提出した証拠は、法廷で、原本と事前に提出しているコピーが同一であることを確認します(原本確認)。通常は、弁護士が原本を持って来て裁判所に見せて、裁判官と相手方弁護士が確認してこれを返却します。(原本確認)。民事訴訟法上は、原本にて提出した証拠は、裁判期日に、原本を確認したその日に提出したことになります。

主任裁判官

 「被控訴人は、控訴答弁書を陳述ということでよいですか。」

被控訴人の弁護士

 「はい。」

主任裁判官

 「双方、主張、立証は、以上ですか。」

控訴人の弁護士

 「はい。」

被控訴人の弁護士

 「はい。」

主任裁判官

 「では、本日、弁論を終結し、判決期日は、〇月〇日午後1時10分を指定します。」

解説

(1)「弁論を終結する」(結審)とは、書面を出す手続、証拠を出す手続、証拠調べをする手続が終わって、もはや、書面を出したり、証拠を出したり、証拠調べをしたりできないことを意味します。
 裁判所は、口頭弁論終結までに出された書類や、証拠に基づいて判決を書きます。

(2)第一審にて、必要な取り調べを既に行っていることが前提となります。新たな証人申請(目撃者等の証人を呼んで話を聞く手続)はなかか認められません。したがって、多くの控訴審の期日は、この短い手続だけで終わってしまいます。

(3)控訴審のイメージでは、第一審の手続をそのまま引き継ぎますので、最初から取り調べをやり直すこともありません。したがって、第一審の判決の効力が消えて、判決を出す前の段階に戻るイメージです。控訴審の裁判官がもう一度判決を書くいイメージです。

主任裁判官

「次回は判決となりますが、和解の余地が無いのか、本日、双方に、お聞きしたいと思っています。」

「和解に関する手続を受命裁判官に嘱託するものとし、受命裁判官は、〇〇を指名します。」

受命裁判官

 「お話を聞きしたいので、双方代理人は、書記官室まで来てください。」

解説

(1)控訴審の裁判手続は、3人の裁判官の合議で行うことになっています。

(2)3人の裁判官の一人で手続を進めるためには、合議体の3人から、一人の裁判官に嘱託の手続をとることが必要になります。

(3)控訴審の審理としては、審理をやり直すことは少なく、和解手続を進めることが多いです。

(4)大阪高裁の運用では、書記官室に場所を移して和解の話し合いをすることになります。

 また、控訴審の裁判官が、訴訟手続の補充で行う必要があると判断した場合には、結審することなく、弁論準備手続に付されることが多いと思われます。弁護論準備手続の場合にも、受命裁判官が指名されて、控訴人弁護士、被控訴人弁護士、受託裁判官の3名で進めることが多いです。

(5)証拠調べをする場合や、弁論準備手続後に、「弁論を終結する」(結審)かどうか判断する場合には、弁論期日を開き、三人の裁判官の合議で進められていくことになります。

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