Q 二重譲渡(動産)について教えて下さい。
2025/11/03 更新
このページを印刷所有権
所有権とは、所有権とは、物を自由に使い、収益を得て、処分する権利のことです。
無権利者の承継人
(1)Aさんが無権利者である場合、Aさんからその動産をゆすり受けたBさんは所有権を取得できません。
(2)なお、94条類推、表見代理、取得時効が成立する場合を除きます。
二重譲渡
1 二重譲渡
(1)元所有者AさんがBさんに、そして、元所有者AさんがCさんに動産の所有権を譲渡した場合の関係を二重譲渡といいます。
(2)なお、元所有者AさんがBさんに動産を移転させた段階で、元所有者Aは無権利者になります。しかし、元所有者AさんがCさんに動産の所有権を譲渡した段階で、元所有者Aは権利を取り戻します。これを復帰的物権変動といいます。
このように考えて、Bさんが所有者なのか、Cさんが所有者なのかを占有の前後で決める、という考え方になります。
2 対抗要件
(1)二重譲渡の関係にある当事者間において、相手方に所有権を主張するには、①元所有者から所有権を譲り受けたことだけではなく、②引渡し(占有)を受けたことが必要です(民法178条)。
(2)例えば、二重譲渡の関係にない第三者に対し、所有権を主張するには、①元所有者から所有権を譲り受けたことだけで足ります(民法176条)。
3 ①元所有者から所有権を譲り受けたこと
例えば、BとCの訴訟にて、Aが所有者であることに争いがない場合(権利自白)には、Aからの所有権譲渡を主張すれば足ります。
そうでない場合には、Aからの所有権譲渡だけでなく、Aが無権利者であったとしても、取得時効その他の要件を満たすことの立証が必要になります。
| 民法176条 物権の設定及び移転 第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。 民法178条 動産に関する物権の変動の対抗要件 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。 |
引渡し(占有)
(1)占有には、①現実の引渡し (民法182条1項)、②簡易の引渡し (民法182条2項)、③ 占有改定 (民法183条)、④ 指図による占有移転 (民法184条)がある。
(2)③ 占有改定 (民法183条)は、売主などが売却後も引き続き物を占有し続ける場合に、売主が今後は、買主にのためにそのものを預かっているという意思表示を示す形の占有です。
例えば、ピアノを購入したが引渡し日までにピアノ屋さんが預かっているような状態を意味します。
(3)占有改定は、外形的な占有の移動はないものの、民法178条の対抗要件たる「引渡し」にはあたるとされています。
もちろん、その他の方法の占有でも、民法178条の対抗要件たる「引渡し」にはあたります。






