テナントの原状回復費用を交渉する方法
2023/06/07
テナントの明渡しと、原状回復費用の交渉の流れ
1 明渡し時期までに原状回復工事を終わらせる。
原状回復工事の期間もテナントを利用していることになるので、明渡しの期間までに原状回復工事を終わらせる必要があります。
2 当時の写真や、賃貸借契約書の準備
(1)抽象的には、回復すべき原状(借りたときの状態)の確認が必要です。
(2)借りたときの状態が分かる資料や、賃貸借契約書の用意が必要です。
3 見積もりと工事の打合せ
(1)賃借人の側で、賃借人の業者と相談して、原状回復としてやるべき工事の内容を明確にし、その見積もりをとっておきましょう。
(2)テナントの賃貸借契約の多くては「工事業者は、賃貸人(家主)が指定する。」と記載されています。今後建物を使うのは賃貸人(家主)です。賃借人側が安くていい加減な業者を連れて来られると困るからです。
(3)しかし、見積もりを作らなければ、賃貸人(家主)のいう工事内容や、金額が妥当かは結論ができません。
(4)したがって、賃借人の側で、原状回復としてやるべき工事の内容を明確にし、その見積もりをとっておきましょう。
4 工事内容の打合せ
(1)明渡しの3か月前には、賃借人と賃貸人(家主)が集まって、原状回復工事の工事の打合せをします。
(2)先に、賃借人側の工事の見積もりを提出しておき、これをベースに、賃貸人(家主)側で工事をしてほしい、と依頼します。
(3)仮に、賃貸人(家主)が、別の意見を持つなら、そのときに説明してもらいます。
(4)立ち合いのについては写真を持って行きましょう。問題になりそうな部分については写真を撮影をしておき、相手の言い分もメモしておきます。
立ち合いと写真撮影
(1)立ち合いのときには、証拠を残すために写真撮影を行います。
(2)写真撮影の目的は、争点部分の撮影、(争点部分に関する)当事者の言い分を証拠化することです。
(3)お互いが問題になりそうな部分を指摘し、お互いの言い分をメモし、その部分の写真を撮影します。
原状回復工事と交渉
(1)工事の範囲や、工事代金(単価)については、かなりの幅があります。
(2)本来、相みつを取れば、かなり安くなりこともあります。
(3)「適切な工事範囲は●●までです。」「適正な工事代金は〇円です。」「それを大きく超える場合には、暴利の請求であるから、訴訟してでも敷金を返してもらいますよ。」「賃貸人(オーナー)も、適正な工事をしてもらえればよいはずですから、業者に対する価格交渉を協力して下さい。」「協力してもらえれば、こちらは経済的に助かります。また、賃貸人(オーナー)も当社とトラブらずにすみウェンウィンです。」と言って交渉することになります。
あまりにも工事代金が高いとき
(1)賃貸人(オーナー)は、「この金額が適正額である。」といって、賃借人に同意を求めてくることがありますが、これは拒否するしかありません。
(2)工事代金について折り合いがつかない場合には、カギを返してテナントを引き渡し、原状回復の工事は、賃貸人(オーナー)に任せることになります。
(3)賃貸人(オーナー)は、高額な工事代金を控除してほとんど敷金を返さないでしょう。そのときには、賃借人として敷金等の返還請求訴訟をすることになります。
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