判例(逮捕されたとのツイートについて、逮捕から約8年が経過し、「公表されない法的利益」が一般人の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、その削除をSNS運営者等に請求することができる。)
2025/05/07 更新
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犯罪の逮捕歴がツイッターで掲載された。
逮捕嫌疑の罪については罰金刑の言い渡しを受けたが、罰金を納付して終わっている。
逮捕から8年が経過していた。
逮捕についての他のインターネットの記事は閲覧できなくなっている。
本件ツイートは、逮捕の事実を速報することを目的として投稿されたものとうかがわれ、長期間にわたって閲覧され続けることを想定して投稿されたものはない。
原告は、公的な立場にあるものではない。
判決
上記の事実関係において、犯罪の逮捕歴がツイッターで掲載されることによって侵害される「公表されない法的利益」は、一般人の閲覧に供し続ける理由に優越するので、その削除をサイト運営に対し請求することができる。
(最判令和4年6月24日)
参考
判例タイムズ1507号49頁
解説
逮捕の事実を、他人に知られたくないという権利は、プライバシーとして、公表されない法的利益として認められています。
これに対して、ツイッターは、利用者は個人が情報を発信し、かつ、情報を取得する手段として利用されており、一般人の閲覧に供し続けることについても法的利益が存在します。
本判決は、以下の事情のもとで、犯罪の逮捕歴がツイッターで掲載されることによる「公表されない法的利益」は、一般人の閲覧に供し続ける理由に優越するので、その削除をサイト運営に対し請求することができる、と判断しました。
(ア)犯罪の逮捕歴がツイッターで掲載された。
(イ)犯罪事実については罰金を納付していた。
(ウ)逮捕から8年か経過していた。
(エ)逮捕についての報道記事も既に削除されていた。