調停手続と4つの段階
2023/12/07 更新
このページを印刷調停手続と4つの段階
調停手続には、4つの段階があります。
これを理解すると、戦略が立てやすくなります。
- 第1の段階
- 最初の段階では、調停委員は「事実を把握したい。」「当事者の思いを知りたい。」と考えており、こちらの言い分を聞いてくれます。
カウンセリングの「傾聴」では、相手方の話をしっかりと聞くことで信頼関係を作ります。調停委員はまずは、こちらの言い分を聞くことに徹します。
- 第2の段階
- 次の段階では、調停委員は、相手の言い分をそのまま伝えてきます。
調停は、調停委員を介しての話し合いの手続です。調停委員としては、相手の言い分をこちらに伝え、逆に、こちらの言い分を相手に伝えることが職務です。
調停委員は、このときのこちらの反応を見て、落としどころを探ります。
調停委員は、白黒を判断するのではなく、お互いに譲歩を引き出して、お互いの要望を一致させるのが仕事です。
Aさんが高額請求をしているのであれば、Aさんに減額を求めます。B さんが低額での解決を求めるのであれば、増額を求めます。
この段階では、調停委員は、「あくまで、相手の言葉をそのまま伝えているだけです。」というスタンスをとります。
しかし、実際には、調停員の立場としては、どこまで、こちらが譲歩できるのかを見ています。
- 第3の段階
- 調停委員は、妥当なラインを決めて当事者双方を説得します。。
Aさんが高額請求をしているのであれば、Aさんに減額を求めます。Bさんが低額での解決を求めるのであれば、増額を求めます。
調停委員はあくまで中立です。双方に譲歩を求めるのが仕事です。しかし、このときの調停委員の言い方は、こちらを批判しているように感じたり、相手の味方になっているように感じたりすることが多いです。
この段階では、調停委員が突き放すような態度をとってきます。
簡単には、譲歩しない姿勢を示すこと、譲歩できない理由をしっかりと説明することが必要です。
①どこまでだったら譲るのか、②調停不成立(これ以上の話し合いを拒否する)を選択すのかどちらがメリットがあるのか、冷静に判断する必要があります。
- 第4の段階
- 当事者双方の要望がまとめれば、これを文書(合意書)にします。
調停手続のテクニック1
調停委員に話したことは全て、相手に伝わると思っておきましょう。
調停委員は、相手が感情的にならないように配慮はしますが、こちらの言い分を伝えるのが仕事です。
相手に言ってほしくないことは、「このことは相手に伝えないでほしい。」としっかり伝えましょう。
調停手続のテクニック2
調停委員が落としどころを決めていない段階では、こちらから、解決案を出すことは有効な方法です。
調停は、調停員を介しての話し合いの手続です。調停員としては、相手の言い分をこちらに伝え、逆に、こちらの言い分を伝えることは職務です。
こちらから解決策を出してもよいのですね。
調停員も四苦八苦しながら解決案を探しているのです。例えば、「損害額は100万円から300万円ぐらいかな。」と思える事案で、100万円という提案と、その根拠を調停委員に伝えれば調停委員はそのまま相手に伝えてくれます。
相手がこれをすぐさま拒否しなければ、次回の話し合いでは、その案をベースに話し合うことになります。
調停委員が考える「妥当な解決ライン」を把握したうえで、こちらの金額と、その金額を査定した理由について説明する文書を用意することは有効な戦略です。調停委員が相手を説得する際の資料まで用意すれば調停委員を味方に付けることができます。
調停手続のテクニック3
相手が法外な主張に固守してくることがあります。
この場合、調停員は、「Aさんは、〇と言って言いますが、どうしますか。」と聞いてきます。
こちらが、「Aさんの提案はおかしい。」と説明しても、「調停手続なので、Aさんの提案の適否は判断できません。」「もちろん。説得はしましたが、Aさんは譲りませんでした。」という反応が返ってくることがあります。
この場合には、調停委員に、相手の説得をお願いするのか、それとも、調停不成立(これ以上の話し合いを拒否する)のか、調停委員の説得に応じるのか冷静に判断する必要があります。