遺贈が失効した場合には、失効分は相続人に帰属する
2024/04/29 更新
このページを印刷特定遺贈と包括遺贈
遺贈には、大きく分けて特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。
特定遺贈は、〇〇の土地をAに遺贈するなど、具体的な財産を特定した遺贈です。
包括遺贈は、相続財産の3分の1をAに遺贈するなど、取得割合を定めた遺贈です。
遺贈の放棄や、受遺者の死亡
受遺者は、遺贈を放棄できます(民法986条1項)。放棄がされると遺言は失効します。
遺言者の死亡以前に受遺者が死亡すると、遺贈は失効します(民法994条)。
放棄もしくは受遺者の死亡による失効分は、他の受遺者に帰属せずに相続人に帰属します(民法995条)。
包括遺贈と、民法995条
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務をする(民法990条)とされます。
放棄もしくは受遺者の死亡による失効分は、他の受遺者に帰属せずに相続人に帰属します(民法995条)。その失効分は、相続人だけでなく、包括受遺者にも帰属するという考え方もありえます。
しかし、判例は、放棄もしくは受遺者の死亡により失効分は、相続人に帰属し、包括受遺者には帰属しない、と判示しました(最判令和5年5月19日)。
失効分の帰属の割合
失効分は、相続人に帰属しますが、その帰属の割合については確定的な考え方はありません。
「法定相続分で分ける」という考え方だけでなく、「相続人で均等に分ける」という考え方もあるかもしれません。
参考
判例タイムズ1511号107頁