離婚を希望する場合の婚姻費用の支払い
2024/11/14 更新
このページを印刷婚姻費用
「婚姻費用」と「養育費」の定義について、詳しく教えてください。
婚姻費用は、結婚している期間(離婚まで)の(配偶者+子供の)生活費の請求です。
養育費は、離婚後の子どもの生活費の請求となります。
離婚をすれば、婚姻費用から養育費の問題となります。配偶者分が減って、子どもの生活費の問題となるわけです。
婚姻費用の支払い義務
(婚姻関係を破綻させる原因を作った)有責配偶者からの婚姻費用の請求は、権利濫用もしくは信義則違反となって減額される可能性があります。
しかし、判例で、婚姻費用の請求が棄却されるのは、不貞行為(浮気)の証拠がしっかりある事案であって、「勝手に家を出た。」とか「同居を拒否する。」という事情があるだけでは、婚姻費用の請求は却下されません。
参考
髙中正彦ら編「離婚のチェックポイント」60頁
離婚を希望する場合の婚姻費用の支払い
相手方が離婚を希望しているが、こちらが離婚を希望していない場合には、当然、婚姻費用を支払うべきです。
しかし、こちらが離婚を希望している場合は、婚姻費用を支払うかどうかは難しいところです。
なぜなら、こちらが離婚を希望している場合には、「(婚姻関係を破綻させる原因を作った)有責配偶者である」と認められるかどうかは別にして、それなりの理由があることが多いからです。
婚姻費用はお互いの収入の証明をだせば2、3回の期日で金額が確定することが多いです。離婚調停と婚姻費用分担調停が同時進行で進んでいる場合には、婚姻費用分担調停だけが調停案ができてしまうこともあります。
調停員から「理論的には、離婚と婚姻費用は別問題である。」「婚姻費用だけ調停を成立させてほしい」もしくは「婚姻費用の仮払いをしてほしい。」といわれることがあります。
しかし、毎月、婚姻費用(生活費)を支払ってしまうと、相手からすれば離婚が成立すればその額が養育費に減ってしまうことになります。したがって、離婚の話がずるずると長引く可能性もあります。
もっとも、交渉のために婚姻費用(生活費)の支払いを止めるというのも倫理的な問題があります。
妥協点として「子供の婚姻費用相当額だけ仮払する。」もしくは、「半年までと期間を区切って婚姻費用(生活費)の支払い、調停の成立だけは拒否する。」等の交渉をすることがあります。