判例(遺言により相続分がないものと指定された相続人が遺留分侵害額請求権を行使しても、(相続人の親族が請求した)特別寄与料を負担しない。)
2024/10/06 更新
このページを印刷(相続人の親族の)特別の寄与
(1)寄与分を請求できるのは、共同相続人だけでした(民法904条の2)。
(2)相続人の親族が、相続財産の増加に(特別の)寄与した場合には、民法1050条の特別の寄与を請求できます。
(3)相続人が数人ある場合には、相続人は、その相続分(遺言による相続分の指定がされていないときは法定相続分、相続分の指定がされてるときは指定相続分)を乗じた額を負担します(民法1050条の5項)。
最判令和5年10月26日(判例タイムズ1523号106頁)
(1)遺言により相続分がないものと指定された相続人が遺留分侵害額請求権を行使しても、(相続人の親族が請求した)特別寄与料を負担しない。
(2)確かに、遺留分侵害請求権を行使すれば、遺言により相続分がないものと指定された相続人も相続財産を取得します。しかし、これよって、特別寄与料の負担額が変更されるとすると、特別寄与料の請求者が相続人の紛争に巻き込まれることになり、なかなか、特別寄与料の請求ができなくなります。
(3)そこで、遺言により相続分がないものと指定された相続人が遺留分侵害額請求権を行使しても、(相続人の親族が請求した)特別寄与料を負担しない、と判断されました。