発信者情報開示請求
2024/05/24 更新
このページを印刷損害賠償請求と発信者の特定
サイトの不適切な書き込みによって名誉を侵害されました。損害賠償を請求したいです。
サイトの不適切な書き込みによって名誉を侵害された場合、損害賠償をするために、書き込んだ人の氏名、住所を把握することが必要になります。
発信者情報開示の仮処分 ＋ 発信者情報開示請求訴訟
かつては、以下のように2段階の手続きを経る必要がありました。
- ① コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示の仮処分
- コンテンツプロバイダー（サイト管理者やSNS事業者）に、発信者情報（IPアドレス）の開示の仮処分をします。
これが認められれてIPアドレスが開示されると、経緯プロバイダが判明します。
- ② 経緯プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟
- 経由プロバイダとは、光回線等を提供してパソコンとインターネットを接続する役割をする事業者です。
経由プロバイダは、当該回線について利用者とプロバイダ契約を締結しています。
ある家のパソコンを使って書き込みをした場合に、その家のインターネットに接続するためのプロバイダー契約をしていたとするすると、経由プロバイダーは、そのインターネットの契約者の住所名前の情報を持っています。
そこで、経由プロバイダに対し、発信者情報（プロバイダ契約の住所名前）開示請求訴訟を提起することになります。
発信者情報開示命令の申立
発信者情報開示命令の申立は、令和４年１０月１日施行のプロバイダ責任制限法の改正により、従前の発信者情報開示請求の訴訟手続等に加えて新たに創設された手続きです。
発信者情報開示命令の申立は非訟手続です。
- 発信者情報開示命令の申立
- 申立人は、コンテンツプロバイダー（サイト管理者やSNS事業者）を相手方として発信者情報開示命令の申立をします。
申立人は、開示の要件を満たしていることを主張、立証し、コンテンツプロバイダーが強く争わないときには、裁判所はコンテンツプロバイダに対し開示命令を発します。
開示された情報をもとに、申立人は、経由プロバイダーに対する発信者情報開示命令の申立てを行い、二つの手続きを変更して一体的な審理を求めることができます。
（経由プロバイダとは、光回線等を提供してパソコンとインターネットを接続する役割をする事業者です。）
コンテンツプロバイダーに対する申立と、経由プロバイダーに対する申立を別々に手続きすることなく、１回の手続で同時に並行で解決を図る手続です。
参考
小川 久仁子ほか「一問一答 令和3年改正プロバイダ責任制限法」１３頁以下
発信者情報開示命令の申立と発信者情報開示請求訴訟の使い分け
発信者情報開示命令の申立は、コンテンツプロバイダが強く争わないことを前提にしています。
したがって、事前にコンテンツプロバイダが強く争う姿勢である場合には、コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟を利用する必要があります。
参考
小川 久仁子ほか「一問一答 令和3年改正プロバイダ責任制限法」４７頁
