【強制執行】債権差押命令 預金の差押(債務者の立場で)
2023/10/16 更新
このページを印刷債権差押命令 預金の差押(債務者の立場で)
判決、裁判上の和解、公正証書の代金が支払えず、預金を差し押さえられる場合があります。
例 取引先の代金を支払えず、裁判になって、敗訴した。これを支払わなかったために、預金の差押をされた。
預金債権の差押
預金債権の差押であるかは、「債権差押命令」の「差押債権目録」で確認します。
差押債権目録で以下のように記載されていれば、預金の差押です。
差押債権目録
債務者が第三債務者株式会社〇〇銀行(〇〇支店扱い)に対して有する下記預金債権及び同預金に対する預入日から本命令送達時までに既に発生した利息債権のうち,下記に記載する順序に従い,頭書金額に満つるまで
記
1 差押えのない預金と差押えのある預金があるときは,次の順序による。
(1)先行の差押え,仮差押えのないもの
(2)先行の差押え,仮差押えのあるもの
2 円貨建預金と外貨建預金があるときは,次の順序による。
(1)円貨建預金
(2)外貨建預金(差押命令が第三債務者に送達された時点における第三債務者の電信買相場により 換算した金額(外貨)。但し,先物為替予約があるときは,原則として予約された相場により換算する。)
3 数種の預金があるときは,次の順序による。
(1)定期預金
(2)定期積金
(3)通知預金
(4)貯蓄預金
(5)納税準備預金
(6)普通預金
(7)別段預金
(8)当座預金
4 同種の預金が数口あるときは,口座番号の若い順序による。
なお,口座番号が同一の預金が数口あるときは,預金に付せられた番号の若い順序による。
差押えによる影響
(1)差し押さえられたその日に、その口座に入っていた預金は、債権者に支払われます。
(2)その日以後に入金された預金については、債権者に支払われません。
例えば、債権執行の金額が100万円で、預金残額が30万円だとすると、預金の金額は0円となりますが、その後も今までどおり使えます。
(3)例えば、A銀行の口座を差し押さえられた場合、A銀行で履歴が残る可能性があります。A銀行グループでの融資等は難しくなります。逆に、A銀行以外に差押の情報が出回ることはありません。
例えば、A銀行の融資を受けていた場合には、A銀行から一括で返済せよ、と言われることがありえます。
(4)債務者としての最大のリスクは、(3)です。
他の預金口座の差押の可能性
(1)債権者が、債務者の他の預金口座について、差押をしてくる可能性については一般的には低いといえます。
(2)差押手続には、一つの銀行の一つの支店の口座の預金差押について、実費(弁護士費用を除いて裁判所等に支払う費用)だけでも7000円近くの費用が要ります。銀行の数は無数になり、手当たり次第に行うことはできません。
(3)極端に言えば、預金を全額引き出して、土にお金を埋められると、預金口座の差押は上手くいきません。債務者もこれらのリスクに備えるのが通常です。一回目の預金の差押が空ぶった場合に、2回目、3回目と手続きしてくる可能性は低いといえます。