【裁判手続】調査嘱託
2023/10/16 更新
このページを印刷調査嘱託
(1)調査嘱託は、裁判所の許可を得て、第三者に対し、裁判中の争点に関して簡単な質問をする手続です。
調査嘱託というネーミングですが、第三者に過大な負担をかけることは許されません。イメージで言えば、裁判所の許可を得て、 裁判中の争点に関して簡単な質問をする手続です
(2)調査嘱託をする際には、裁判中に、一方当事者が申請書を出して、他方当事者が「資料の取り寄せは必要」もしくは「不必要」との意見を出して裁判所が判断します。
裁判所が決定を出せば、裁判所から関係各所に、質問状を送ります。
(3)裁判中に、 争点と関係がある事実について、第三者から文書を取り寄せる手続が文書送付嘱託、第三者に簡単に質問をする手続が調査嘱託です。
調査嘱託の 証拠提出
実務上は、宛先から回答が文書で裁判所に届きます。当事者は、裁判所から知らせて受けて、その文書をコピーします。その後、証拠として裁判所に再び提出することになっています。
調査嘱託のデメリット
文書送付嘱託は、裁判手続の一つとして行います、その結果は、相手方もその内容を知ってしまいます。
通常、証拠については、有利なもの、不利なものがあります。こっそり証拠を集めたりすることはできません。
調査嘱託の要件
(1)裁判所は、「捜索」的な文書送付嘱託は嫌う傾向があります。
「本件の争点は●である。」「これに対して、通常は〇という事実が存在する。」「〇かどうかは、第三者に聞けば簡単に分かる。」ことが必要となります。
現実論としては、どんな証拠があるのかも分からないことが多いのが実情です。しかし、調査送付嘱託では、ある程度、その調査嘱託の対象となる証拠が存在する可能性があることが必要とされます。
こういう証拠があるかもしれない場合には、裁判所は、「捜索」的な文書送付嘱託として、認めてくれません。
(2)調査嘱託の宛先の手間、相手方のプライバシー
調査嘱託が認められれば、その宛先では文書を用意する手間が発生します。また、文書の内容によっては誰かのプライバシー等を侵害します。
したがって、必要性とのバランスが要求されます。
この意味でも、調査嘱託は簡単に求められる手続ではありません。