【調停】面会交流と審判
2024/11/05 更新
このページを印刷面会交流の申立て
(1)面会交流とは、別居している親が子と会うことをいいます。
(2)民法は、父母の協議が整わない場合には、裁判所が面会交流の内容を定めるとされています(民法766条2項)。
(3)面会交流の申立は、まず、調停手続で行う必要があります。調停手続をしていないのに、審判を申し立てた場合には不適法となるわけではありませんが、結局、調停手続に戻されるという運用がされています。
面会交流の審判
(1)面会交流の審判手続は、ミニ裁判というイメージです。基本的には裁判と同様の仕組みとなります。
(2)調停手続は話し合いの手続きですが、審判手続では、お互いの言い分について書面を出し、裁判所に判断してもらうことになります。
面会交流の決定
(1)面会交流の決定には、面会交流を認める。認めない。もしくは、間接交流だけを認めるという判断もありえます。
(2)(裁判所が命じる)間接交流としては、例えば、以下のような内容となります。
主文 1 相手方は、申立人に対し、当分の間、年に 2回 (毎年7月及び12月頃),、未成年者の成長の 過程を記録した写真及び生活の状況を記した書面 を送付せよ。 2 相手方は、申立人が、相手方の指定する代 理人を経由して、プレゼント等を送付することを 妨げない。 |
(3)面会交流の決定については、①面会交流を認めるべき積極的事情、②消極的事情だけでなく、③子供が反対しているとしても親の働きかけや、④試行的面会交流等を通じての報告等を考慮して決しなければならない。
令和5年11月30日東京高裁(判例タイムズ1524号87頁)
(1)原審(さいたま家庭裁判所川越支部)は、①未成年者が慣れない相手に対して 不安が喚起されやすい特徴を有すること、②抗告人(別居中の夫)は、これまで未成年者に接触した期間が短く、未成年者の負担を減じて交流を実施するためには、相手方の協力を得ながら、 未成年者が抗告人(別居中の夫)に徐々に慣れるようにすることが必要であること、③ 相手方(妻)の抗告人(別居中の夫)に対する不信感が根強いこと、④未成年者が日常的に夜中に泣いて目を覚まし、相手方(妻)は、精神的・体力的に余裕があるとはいえないこと、⑤かかる状況において直接交流を実施した場合、相手方の養育状況の低下が生じる 恐れがあることなどから、 現状において直接交流を実施することは相当とはいえないとて、抗告人(別居中の夫)と未成年者との面会交流を間接交流とするのが相当であるとした。
(2)これに対し、 抗告審(東京高裁)は、 第三者機関を利用して直接の面会交流をすることが困難であると断じることはできない。抗告人(別居中の夫)と未成年者との試行的面会交流の実施を積極的に検討し,その結果をも踏まえて、直接交流の可否 や、面会交流の具体的方法を検討すべきであるとして、もう一度、審理をやり直すべきとの決定をした。