上告
2023/10/16 更新
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上告は、控訴審の判決に不服がある場合に、さらに上級の裁判所において、再度審理してもらう手続きです。
控訴審が高等裁判所である場合には最高裁判所に上告します。控訴審が地方裁判所である場合には、高等裁判所に上告します。
上告理由・上告受理申立理由
控訴審では、控訴審の判決に不服があれば控訴できました。より正確には、原審の申立と判決主文を比べて、判決主文が申立より不利益であれば、控訴できました。
これに対して、上告をするためには上告理由が必要になります。言い換えれば、上告理由がなければ、上告審で審理してもらえません。
例えば、控訴審の判決に憲法違反等があれば上告理由となります。なお、高等裁判所への上告の場合には、重大な法令違反も上告理由となります。
例えば、控訴審の判決に最高裁判例と矛盾する場合や、法令の解釈に関する重要な事項を含む事件(最高裁として統一的な見解を示すことが今後の紛争解決にとって必要であるるような裁判上重要な事件)については、上告受理申立理由とされています
上告受理申立事由は、上告の申立てがあった事件について、最高裁判所が裁量にて上告を認める事件です。
上告理由は限定されていること
上告理由は限定されています。したがって、上告の申立てをされた事件のほとんどは、上告理由がないとして、不受理の決定等がされます。
つまり、上告理由がないとして、事案の当否も判断してもらえないのです。
この点をとらえて、日本の裁判所は事実上、2審制であるという人もいます。
上告審するかの判断
控訴すれば、裁判官が変わります。控訴するかどうかの判断基準の一つが別の裁判官が判決を書くことになれば結論が変わる可能性があるかです。
これに対して、上告審の場合には上告理由の検討が必要です。控訴審の判決に最高裁判例と矛盾する場合や、法令の解釈に関する重要な事項を含む事件(最高裁として統一的な見解を示すことが今後の紛争解決に資すると考えるような事件)でなければ上告することは難しいというのが現状です。
上告審での勝訴可能性
上告審で原判決が破棄されるのは1%程度であり、現実的に上告して高裁の判決が覆ることはほとんどありません(中村直人「訴訟の心得 」141頁)。