判例(他人を誹謗するSNSへの書き込みについて、会社の責任が認められたケース)
2024/08/13 更新
このページを印刷事案
(1)何ものかが、他人を誹謗するSNSの書き込みをした。
(2)発信者情報により、会社で本社で契約しているインターネット回線を利用して書き込みがされたことが分かった。
(3)書き込みは、令和元年6月から令和3年10月までに及び、合計5137件(1日平均6件)となっており、その書き込みは会社の就業時間帯に行われていた。
(4)会社は、当該従業員を減給処分したとして、氏名をマスキングしたうえで給与明細を出した。その金額はかなりの額だった。
(5)会社の従業員数は15名程度であった。
判例
(1)SNSへの書き込みについて、会社と、代表取締役について民事上の賠償責任を認めた。
長期的かつ継続的に行われていたSNSの投稿が、会社の業務時間中に行われていたたこと。
(会社は、当該従業員を減給処分したとして、氏名をマスキングしたうえで給与明細を出した。その金額は高額であった。したがって、)その会社で重要な地位を占めると思われること。
会社の従業員が少人数であったこと
したがって、当該人物が、会社内で長期的かつ継続的に、他人を誹謗するSNSの投稿をしていたことを知っており、許容されていたと思われる。
したがって、会社と、代表取締役には、他人を誹謗するSNSへの書き込みについて責任を負う。
(2)これに対して、財務及び経理業務だけを担当し、会社の事務所にもほとどんど出勤していなかった取締役については責任を否定した。
東京地判令和5年10月16頁
判例タイムズ1521頁188頁
解説
(1)他人を誹謗するSNSへの書き込みについては、民法715条等の要件を満たさない限り、会社の責任は認められない。
(2)本件では、「当該人物が、会社内で長期的かつ継続的に、他人を誹謗するSNSの投稿をしていたことを知っており、許容されていた、」という事情があるとして、特段の事情があるものとして、会社の責任を認めました。