判例(商人間の売買で、売主が契約不適合であることについて重過失がある場合には、買主が契約不適合の通知を怠った怠ったとしても、買主は契約不適合責任は行使できる。)
2024/09/13 更新
このページを印刷契約不適合責任の期間制限
民法の通知義務
目的物が買主に引き渡された場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内に「目的物が契約に適合しないこと」を売主に通知しなければ、契約不適合責任を行使できなくなります(民法566条)。
1年以内に損害賠償請求をする必要はなく、裁判外でも「目的物が契約に適合しないこと」を売主に通知すればたります。
商法の通知義務
商人間の売買の場合には、直ちに、「目的物が契約に適合しないこと」を売主に通知しなければ、契約不適合責任を行使できなくなります(商法526条2項)。
「目的物が契約に適合しないこと」が直ちに発見することのできない場合において上記の上記の適用がないが、買主が6箇月以内にその不適合を発見したときも、上記の通知の義務が発生します(商法526条2項)。
消滅時効
契約不適合責任についても消滅時効に掛かります。
その起算点は、買主が不適合を知ったときから5年、目的物の引き渡しを受けたときから10年です。
参考
岡口基一 「要件事実マニュアル 第5版 第2巻 民法2 」82頁
事案
商人間の売買において、引き渡しから6ヶ月以内に、買主(の会社の担当者)は契約不適合に気がついたが、情報共有が不足しており、直ちに、売主にその旨の通知を送ることができなかった。
しかし、買主は、その商品が契約の内容に一致しないこと(契約不適合)について重過失があった。
判例
商人間の売買で、売主が契約不適合であることについて重過失がある場合には、買主が契約不適合の通知を怠った怠ったとしても、買主は契約不適合責任は行使できる。
東京地判令和4年12月8日
参考
判例タイムズ1521号131頁
解説
商法526条3は、「売主が売主が契約不適合であることについて悪意である場合には、買主が契約不適合の通知を怠った怠ったとしても、買主は契約不適合責任は行使できる。」と規定しています。
悪意(知っていること)と、重過失(知っていないことに重大な過失があること)は同視されるのが通説であり、本判決は、重過失(知っていないことに重大な過失があること)についても同様に扱うことを明確にした判例です。