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判例(妻が自宅の鍵を夫に無断で交換して、自宅に入れなくした事案について、夫からの共同占有状態への復帰(具体的には夫に鍵を渡す等)を命じた。また、夫は賃料相当損害損害金の請求を求めていたが、これを棄却した。)

2025/03/26 更新

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東京高判令和6年5月15日

事案

 夫は、本件マンションを購入した。

 夫は、本件マンションの住宅ローンや、管理を支払っていた。

 夫と妻は、本件マンションに居住していたが、令和2年7月、夫が本件マンションを出て別居した。

 妻と子が、本件マンションに居住し続けた。別居後も、夫は本件マンションを出入りして子の世話をしていた。

 令和4年1月、妻が本件マンションの鍵を夫に無断で交換して、夫は本件マンションに出入りできなくなった。

 夫は、共同占有状態への復帰(具体的には鍵の交付など)と、賃料相当損害損害金の請求を求めた。

争点

1 占有回収の訴え

(1)もともと、本件マンションの所有権は夫にあった。したがって、所有権に基づく妨害排除請求権として、本件建物の使用を妨げてはならない権利(具体的には鍵の交付など)を求めることができました。

(2)もっとも、夫が共同占有状態への復帰を求める訴えを提起したので、請求権と以下のとおりとなります。

(3)夫の請求権は、占有回収の訴えです。もともと、夫婦で本件マンションを共同で使用していたので、共同占有状態への復帰を求めました。

 占有回収の訴えとは、占有者が自分の意思に反して占有物を奪われた場合に、その物の返還や損害賠償を請求する訴えです(民法第200条)。

民法第200条 占有回収の訴え
1項 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2項 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

民法201条 占有の訴えの提起期間
1項 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。
2項 占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。
3項 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。

民法203条 占有権の消滅事由
 占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。

2 妻の主張(占有権消滅の主張)

 妻の主張は、民法203条にしたがって、①夫が別居したことで、占有の意思を放棄した。②夫が別居によって、所持を失った、と主張しました。

判決

(1)判決は、以下の点を理由に、妻の占有権消滅の主張を認めませんでした。

 夫が別居後も自宅の鍵を保持し、出入りしていたこと

 夫が自宅に家具や家電などを残していたこと

 夫が別居後も住宅ローンの返済や管理費を支払っていたこと

(2)つまり、判決は、妻に対し夫との共同占有状態への復帰を命じました。

(3)また、夫が、自宅に立ち入れないことについて、賃料相当損害金を請求をしていました。

 もっとも、妻が自宅の鍵を夫に無断で交換する前から、別居しており追加で賃料等が発生した等の事情はりません。夫の賃料相当の損害は否定しました。

(4)なお、夫は、自宅に入れないこと、その後の対応によって子に会う権利を侵害されたとして、慰謝料請求を求めていたところ、20万円の限りで慰謝料請求が認められました。

東京高判令和6年5月15日判決

判例タイムズ1529号139頁以下

補足

(1)判決は、妻に対し夫との共同占有状態への復帰を命じましたが、具体的な方法までは判決で明示していません。

(2)しかし、具体的な方法としては、妻が夫に本マンションの鍵を渡す等の対応が必要なるでしょう。

 

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