【信用棄損】判例(知的財産の侵害する旨の警告書が違法になる場合)
2023/10/30 更新
このページを印刷競業者が知的財産権を侵害していないにも関わらず、「競業者が知的財産権を侵害する」旨を告知する行為は、知的財産権の正当な権利行使の一環としてなされたものと認められない場合には、不正競争防止法2条1項21号にいう「虚偽の事実」の告知等にあたり、不法行為責任を負う。
東京地裁令和4年10月28日
判例タイムズ1512号234頁
知的財産の侵害と警告書
(1)競合他社が自社の知的財産権を侵害していると考えられる場合に、当該競合他社に対し警告書を送ることは一般にされている。
(2)そして、競合他社が反論書を送り、これらのやりとりのなかで、実際に知的財産権の侵害が成立するかが検討されたり、和解したりすることが行われている。
解説
(1)本判決は、裁判所が知的財産権の侵害について判断を示す前に、同判断と異なる法的な見解を告知する行為は、不正競争防止法2条1項21号にいう「虚偽の事実」の告知等にあたるため、原則として違法になることが示されました。
(2)本判決は、上記行為が、知的財産権の正当な権利行使の一環としてなされたものと認められる場合には、違法にはならないことも示しています。